離婚後に配偶者から「年金の50%がもらえる」は誤解だと知っていましたか?

Businessman separates stack coins. Concept of saving and investing. Property division. Divorce and legal services.
 

4.年金を半分ずつに分けない

年金の離婚分割は元配偶者の婚姻期間中の年金記録を分割してもらって、お互いが半分ずつの厚生年金記録になるようにします。

とはいえ、お互いが半分ずつになるようにするかどうかは夫婦で決める事なので(夫婦で決着が付かないなら家庭裁判所を利用する事もある)、半分ずつ(50%ずつ)が嫌なら例えば30%とか40%みたいな事も出来ます。

例えば夫は100万円の老齢厚生年金で、妻は60万円の老齢厚生年金だったとします。

分割の最大である半分(分割割合50%)にするなら、夫100万円+妻60万円=160万円を半分ずつにして、それぞれ80万円ずつを分割後の年金とします。

夫は20万円減って80万円になり、妻は20万円増えて80万円になりましたね^^

夫:妻=50:50になったとも表現できます。

では、分割してもらうのは40%でいいよと決めたらどうなるのか。つまり分割するほう(夫)の年金を60%として、分割されるほう(妻)は40%という事です。

夫婦の年金総額は160万円なので、夫は160万円×60%=96万円で、妻は160万円×40%=64万円に分割するという事ですね。

40%分割でやると、妻は分割前の60万円よりも4万円増加した64万円になりましたね。夫は100万円から4万円減の96万円。

では、分割割合を30%としたらどうなのか。

夫婦の年金合計は160万円なので、分割するほうの夫は160万円×70%=112万円になり、分割される方の妻は160万円×30%=48万円となる事になります。

なんか…ちょっと変ですよね^^;

年金低い側の妻の年金を増やそうと離婚分割したのに、妻の年金はさらに減って夫は更に増えるような事になりました。

分割の割合は何パーセントでも決められるというわけではなく、「下限」があります。

上限はもちろん50%ですが、分割される方の妻の年金額を最低でも超えるようにしなければいけません。

そうすると、上限50%≧分割割合>(妻の年金60万円/夫婦の年金160万円=0.375)となり、50%≧分割割合>37.5%(下限)となります。

——

※ 参考

分割割合は、正式には按分割合と言います。按分割合は、ここでは下限を(妻の年金÷夫婦の年金総額)で求める事で、妻の年金を下回らないようにしています。

——

つまり、分割割合を決めるんだったら下限である妻の年金を超えるように、せめて37.5%を超える割合で離婚分割を申し込んでくださいねという事ですね。

まあ、その辺の情報は年金事務所に言えば、この範囲で分割する事になりますと教えてもらえます。見込み額も貰う事は出来ます(50歳以上で年金受給資格がある人)。

(メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2022年10月19日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください)

この記事の著者・hirokiさんのメルマガ

登録はこちら

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

有料メルマガ好評配信中

  メルマガを購読してみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 事例と仕組みから学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【月額】 ¥770/月(税込) 初月有料 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 離婚後に配偶者から「年金の50%がもらえる」は誤解だと知っていましたか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け