過去に年金保険料の「未納」が多くても障害年金がもらえるケースとは?

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次に初診日を基準に、その前までの年金保険料の状況を見ます。

実際は「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの保険料納付記録」を見ます。

なぜ初診日の前日においてなのかというと、保険事故である初診日が発生する前までに保険料を納めておいてくださいねという事ですね。

保険事故が起こってから慌てて保険料を納付しに行ってもダメですよという事です。
この考え方は公的年金でも基本的には同じです。

年金は保険だから。

民間の保険もそうですけど、事故が起こってから保険料を納めても保険金支払ってくれませんよね。
それと同じです。

あと、初診日の属する月の前々月までというのは、年金保険料の納付期限によるものです。

例えば7月分の保険料は翌月8月末までが期限ですが、そうすると9月の初診日を見る時までに確定してるのは7月分の保険料までですよね。8月の保険料納付は9月末なので、まだ8月分までは確定していません。

よって、確定してる7月分までの保険料納付状況までを見ようという事です。

そうすると、A子さんの場合は昭和62年8月から平成10年7月までの132ヶ月の厚年期間と、平成10年8月から平成11年6月までの11ヶ月の免除があります。

そして、平成11年7月から令和4年7月までの未納が277ヶ月ありますよね。

全体は132ヶ月+277ヶ月=409ヶ月。

この409ヶ月の内、3分の1(33.3333…%)を超える未納があると障害年金請求が出来ません。

つまり、未納277ヶ月÷409ヶ月=67.7%なので、33.333…%をゆうに超えています。

こうなると請求が不可なので、門前払いという事になります。

409ヶ月のうち、3分の1である136ヶ月までの未納だったらなんとか門前払いにならなくて良かったんですが…

それか、特例で初診日の前々月までの1年間に未納が無ければ、それでもよかったのですが残念ながら未納期間でした。

よって、A子さんは障害年金を請求できませんでした。

なお、もし障害年金が受給できていたならば、国民年金からの障害基礎年金2級777,800円(月額約65,000円)が傷病が続く限り受給できていました(他に障害年金生活者支援給付金年額60,240円)。

マヒは治らないので、今後A子さんが55歳から90歳まで生きたとしたら、777,800円×35年=約2,700万円の損になります。

 

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