いじめの8割が解消?文科省「問題行動調査」に掲載された信じ難い“数値”の数々

 

不登校も最多

私は「不登校」という言葉があまり好きではない。理由はいじめで適応障害となり、学校に行きたくても通えなくなった子やヤングケアラーで通う事自体がきつい状態のこの相談を受けているからだ。

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さて、令和3年度は、小中学校における長期欠席の認知数も41万3,750人で過去最多であった。新型コロナウイルスの感染回避などもこの中には入るが、不登校というカテゴリーでは、24万4,940人であり、これも過去最多であった。

不登校については、その原因が毎回不透明に感じるのだ。

というのは、不登校の経験者や現在不登校の生徒が集まるという塾やフリースクールに何度か視察に行ったことがあるが、ほぼ8割の生徒が、「いじめ被害」の経験者であった。

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これ自体は私の経験に過ぎないが……

不登校の要因をみると

 

1位「本人に係る状況」無気力、不安           121,796件

2位「本人に係る状況」生活リズムの乱れ、非行など    28,749件

3位「学校に係る状況」いじめを除く友人関係をめぐる問題 23,741件

・・・

・・・

  「学校に係る状況」いじめ                516件

とあるが、過去、NHKが不登校調査をしたときは、いじめは文科省調査の52.5倍であり、家庭に係る問題は文科省調査のおよそ3割マイナスであったのだ。

仮にこのNHK調査の数値をそのまま反映してみれば、いじめは「2万7,090件」となる。この方法は乱暴だとは思うが、数値としてはしっくりくる。

そもそも「いじめを除く友人関係をめぐる問題」とは?と聞けば、「喧嘩」とかとされるのだが、冒頭のいじめ防止対策推進法のいじめ定義を鑑みれば、喧嘩という行為によって、不登校になったのは、心身の苦痛の表れとも考えられるのだから、「いじめを除く」は適切ではない。

地方自治体に任せっきり調査はもうやめないか

文科省はこうした調査を都道府県の教育委員会などに任せ、都道府県は市区町村の教育委員会に任せ、教育委員会は学校に任せてきた。

私が思うに、こうした任せっきり体制が、地域差としては異常値をはじき出したり、総務省に勧告されるような異常報告になっているのではないだろうか。

そもそも、GIGAスクール構想によってタブレットパソコンなどはほぼすべての学校に行き渡っているはずであり、これを使えば、文科省は直接アンケートを収集できるはずなのだ。

ITをせっかく導入しているのに、いつまでも使わなければ、宝の持ち腐れであろう。

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