モスクワに空襲の危機。ウクライナ軍のロシア本土攻撃で迎えた新フェーズ

 

ロシアの防空体制って、もしかしたら穴だらけになっているのかなという想像も出来ます。ロシア軍が世界最強の軍隊ではないかと言われたそのロシア軍は全然そのようなことはなく、ウクライナ軍にあちこちで手ひどい逆襲を食らってもの凄い犠牲者を出している。と同時に無人機が数百キロも飛んできたのを落とすこともできず、2カ所の基地、1カ所はモスクワのすく近くの基地を攻撃されてしまった。これは滅茶苦茶深刻な事態。

200キロの話で言えば、モスクワの空爆も出来るぞと言われたようなもの。モスクワ周辺はおそらく他地域とはレベルの違う防空体制が築かれているでしょうから攻撃はそう簡単でもないとは思いますが、ではそこにたどり着く、今回の無人機がたどり着く間の数百キロには防空施設は何もなくてよかったのかということにもなるので、これは大変なことですね。

で、ウクライナ侵攻ついてはあちこちで負け続けたロシアが今東部のある一カ所に大規模な兵力を投下して、例の部分動員の人たちを含めてのことですが、肉弾戦のようなことをやっていて、それなりにウクライナ側にも損害が生じている状況、それが1カ所あるのですが、それ以外についてはかなりどこもウクライナ軍が優勢で、とりわけ南部ヘルソン州のドニエプル川の西側と東側を巡る戦いがありました。西側にウクライナ軍と川に挟まれて孤立していた軍隊はかなりの損害を出しながらでも東側に逃げおおせた。そうなると、川を挟んでウクライナとロシアが睨み合ったはずなのですが、ウクライナの特殊部隊らしきグループが川を渡り、ロシア軍がうじゃうじゃいるところに橋頭堡を築きつつあるということだそうです。これ、どこまでロシア軍というのは弱いのだろうかという気がしますが。南部でも引き続き領土奪還の動きが強まっていく。東部でもそうだということ。

ロシア軍は何をしているかというと、戦車が入ってこられないような妨害物を設置したり、あるいは塹壕を3重に掘ったり、もしかしたらコンクリートで固めるというようなことを含め、「居座り戦術」みたいなことをやろうとしているようです。それも、どのくらい保つものなのか。とにかく居座ったところで、弾薬を含め兵站がずっとやられ続けていますので、そう長持ちはしないのではないかという気がします。

というところで唯一「戦果」を発揮していたインフラ攻撃、ウクライナの数千万人の人を真冬の寒さにさらすという攻撃。これ一つだけうまくいっていたその攻撃の道具であるツポレフ95、それが停まっている航空基地が狙われたということです。全体としてみればそのような状態。戦争はそう簡単には終わらないのだろうと思いますけれど、流れとしてはそういうことですね。

(『uttiiジャーナル』2022年12月11日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)

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image by: Shag 7799 / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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