賃金水準や一人当たりGDPなど、さまざまなデータで裏付けされる日本の衰退。「モノづくり」の国として復活することは可能なのでしょうか。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では、人気コンサルの永江さんが、この国の製造業を蘇らせるのが容易ではない理由を説明。移民受け入れも含めた抜本的な少子化対策がなければ、製造業に限らず衰退は避けられないと訴えています。
この記事の著者・永江一石さんのメルマガ
日本を甦らせるため「製造業」に光はあるか
Question
「失われた30年」やら、人口減少やら、一人当たりのGDPが韓国に抜かれたやら、記録的な円安やら、大したことないウイルスにビビって3年近くも続けているコロナ騒ぎやら、日本がオワコンであることをヒシヒシと感じている今日この頃です。
日本には観光業しか活かせるところが無いというような風潮ですが、私は製造業にこそ光があると思っております。中国人を相手にしていると感じるのですが、彼らには日本人のようなち密さはありません。一言でいうと「雑」です。自動車を見ても、日本車ほど壊れない車はありません。モノづくりにこそ、日本人のち密さが活きると思います。
ですが、製造業は拠点が海外に移り、日本の空洞化が叫ばれて久しいです。製造業は米国→日本→中国→東南アジア諸国というように、賃金が安い国に移っていく歴史を歩んでいます。
人口減少でそもそもなり手が不足しているという現実もあります。しかし、それでもなお、製造業こそ日本人がいちばん向いていると思うのです。
まだまだ埋もれている中小企業はたくさんあります。製造業から、数々のアイデアが生み出せる余地は残っていると思います。彼らを団結させて、もう一度製造業の国ニッポンとして、日本そのものを立ち直らせることはできないものでしょうか。
永江さんからの回答
「製造業にこそ光がある」と言えど、やはり少子化問題・人口減少を何とかしなければ日本は衰退するしかないです。
製造業は中国が雑で日本は質が高いというのは、過去の話です。中国でもトップクラスのメーカーの製品の性能は米国や日本を既に超えていて、例えば、ドローン開発企業では中国のDJIが世界最大手で、アクションカメラの性能はGoPROをしのぎ、日本のアクションカメラもドローンもとても太刀打ちできません。自動車産業もほとんどの製造が海外に移転し品質管理がされているので、日本でなければ作れないものはもうほとんどないでしょう。
そもそも製造業は、若い労働力とチャレンジ精神がなければ発展していけません。
労働力とは、ただ手を動かすだけではなく製造過程を設計しCADも理解して使いこなし、新たな技術も吸収できる人材です。昔からの技術しかできない頭の固い高齢者は戦力にならず、やはり熱意と柔軟な考えができる若い人が基本です。今の日本の若者は数が少ないだけでなく、きつい製造業を敬遠するので圧倒的に若い人が不足しており産業が発展しません。
この記事の著者・永江一石さんのメルマガ