日本が“貧困”から脱出するヒントは独自のファッション「きもの」にある訳

 

4.ファッションによる日本経済復興を

景気は気のものだと言われます。例えば、国民が日本人であることに自信を持つことは大切です。

縄文時代の高い文明を考えれば、世界の古代文明と言われるものと比較しても圧倒的な古い歴史を持っていることが分かります。縄文時代は文字がなかったと言われますが、実は日本各地でペトログラフと呼ばれる岩に刻まれた原初文字が発見されています。少なくとも6,500年前にはこれらの文字を使う人が日本列島に住んでいたことになります。

最近の研究では、縄文時代には既に稲作が行われ、大規模な集落が形成されていたことが明らかになってきました。

日本は歴史だけでなく、その技術を継承していく伝統があります。中国や朝鮮半島では既に絶えてしまった古代からの技術も日本国内では大切に伝えられています。木造建築技術は数千年間の伝統と技術の蓄積があり、古代の建築であっても建て替えや修理が可能です。

伝統工芸や伝統的な技術だけでなく、そこから最先端の技術が生れています。発酵や醸造の技術からは医薬品やバイオテクノロジーが発達し、化学技術からは炭素繊維などのナノテクノロジーが、日本刀の鍛造からは様々な刃物や金属加工技術が発達しています。

その他にも、鉄鋼、造船、工作機械、鉄道、自動車、飛行機、半導体等も世界のトップレベルを維持しています。

文化、芸術の分野をみても、伝統的な能、狂言、人形浄瑠璃、歌舞伎から、日本の祭に見られる祇園祭の山車、ねぶた、阿波踊りなど、現在でも研鑽と進化を続けています。

日本の民族衣装である「きもの」は世界的に見てもレベルの高い手工芸の染織や刺繍技術の結晶であり、さらに洋服とは全く異なる平面の布を折り畳んだような独自の構造を持っています。

世界の中でこれほどユニークで独特な文化を持ち、しかも古代の技術から最先端の技術までを駆使し、何でも作れる国はあるでしょうか。日本の製造業が低迷しているのは、コストの問題だけです。何千年もの技術の蓄積がコストの問題で、姿を消すというのはどうにも納得できません。

コストは金融や為替、貿易や関税などの法律や運用でいくらでもでコントロールできるものです。そこを利用され、一部の日本人を利益誘導し、日本が貧しくなる政策を日本人自身が行っています。

もし、日本人の半数でも「きもの」を着て、生活したらどうなるでしょうか。欧米人は日本は異文化の国だと明確に認識することでしょう。中国人や韓国人も日本を独自の存在として認識を強めるのではないでしょうか。そして、現在でも民族衣裳を守っている国々は日本に親近感を持つでしょう。

日本人自身も自らのアイデンティティを再確認できるのではないでしょうか。そうなれば気が変わります。日本経済も成長に転じるのではないでしょうか。

編集後記「締めの都々逸」

「ファッションなんて 関係ないと 思う時代は 貧困苦」

「消費より投資」という時代が続いています。そういう人にとって、ファッションなんて馬鹿馬鹿しいものでしょう。でも、経済の状況とファンションを比較すると、やはり好景気の時にはファッションも盛り上がります。景気の気は感情的なものです。ファッションの動きと近いと思います。

別に既存のアパレル企業が淘汰されたとしても、アパレル製品は輸入されるでしょうし、ファッションもなくなりません。でも、独自のファッションが生れないような国になったら、本当にヤバイと思います。ファッションは消費者心理と直結しています。

近い将来、投資市場が暴落し、投資ブームが終了。「今度は消費ブームが来る」なんて夢を見ていますが、さて、どうなるでしょうね。(坂口昌章)

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