客足の増加だけじゃない。ミシュラン「ビブグルマン」を獲得した飲食店の大きな変化

 

グループ内の料理人が開発したレシピを共有

さらに最近姉妹店で、サイドメニューを3品に減らし、餃子を13種類ラインアップするという実験をしたところ大いに人気を博した。餃子の餡も「塩もつ」「冬瓜」「ラムセロリ」という具合に特徴のはっきりとした変わりダネをつくった。すると「もう一品食べてみたい」と動機が生まれるようで、餃子の注文数が増えて客単価が上がったという。お客から「餃子以外のメニューはないんですか?」と問われると「当店は餃子専門店ですから」と返答してことが足りる。これがまた好感を持たれた。そこで、ほかの姉妹店でもこの路線を踏襲していくという。店内手づくりの餃子の店は、餃子が売れれば売れるほど利益が増えるということが特徴だ。

このような同店の仕組みがコロナ禍あって大いに発揮された。同社の店舗数は現在23店舗(直営6店舗、FC17店舗)となっているが、2020年6月から2023年1月までの間に19店舗を出店、うち16店舗がFCである。しかもそのほとんどが地方都市の加盟店である。誰にも真似られない手づくり餃子の専門店がコロナ禍にあって救世主となった。

FC店が増えたことで、グループの中での優秀な料理人が増えた。これらの人々に新しいメニューのレシピを開発してもらい、これらをグループ店舗で共有化するようにしている。このレシピ開発の報酬は料理人が所属する会社ではなく彼らに直接振り込まれる。そこで彼らのモチベーションが著しく高まり、次々と強いアイデアが寄せられるようになった。

餃子という商品の特徴は、自社でつくってそれが売れれば売れるほど原価率が下がり利益が高くなるという特徴がある。同社では今年FC店舗を10店舗増やして、来年には餃子のセントラルキッチンをつくり、餃子の卸業に進出していきたいと考えている。

この二店に共通しているのは、強い体質をつくる体制ができていること。そして、コロナ禍にあって業容を拡大していることだ。それには「ビブグルマンを獲得している」という誇りが拠り所となっていることだろう。

image by: 千葉哲幸
協力:株式会社SOME GET TOWN , マニアプロデュース株式会社

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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