狙いは日本“乗っ取り”か。米国のChatGPTに文明を売り渡す岸田政権の売国ぶり

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イタリアが使用を禁止し、EU各国もその後に続く可能性が報じられているChatGPTですが、先日、開発企業「Open AI」のCEOが首相官邸や自民党本部を訪れたニュースが話題となっています。この報道を受け「イヤなムードを感じる」とするのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、岸田政権が安易に同社の「提案」に飛びつく理由は分かるとしつつも、日本国内におけるAIノウハウの外資依存に対しては、「絶対に間違っている」と強く反対しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年4月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

絶対に間違っている。岸田首相はChatGPTに日本文明を売り渡すのか

今話題になっている、AI(人工知能)による対話型チャットボット、「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米シリコンバレーのベンチャー「Open AI」社のサム・アルトマンCEOが来日。4月10日に首相官邸で岸田総理と面会したほか、自民党本部なども訪れたようです。

岸田総理との会談はおよそ20分だったそうで、報道によりますと、アルトマン氏は、日本のマーケットを重視しているという意向を伝えたうえで、ChatPTの活用方法やルール整備のあり方などをめぐって総理と意見交換したようです。

ちなみに、その中身ですが、塩崎彰久衆議院議員のツイートによれば、自民党本部への訪問は、単なる表敬ではなく、アルトマン氏は自民党の「AIの進化と実装に関するPT」に出席して、以下の7点の提案をしたそうです。

  1. 日本関連のデータ学習(収集)のウェイト(優先順位)引き上げ
  2. 政府の公開データなどの分析提供等
  3. LLM(大規模言語データ)を用いた学習方法や留意点等についてのノウハウ共有
  4. GPT-4の画像解析などの先行機能の提供
  5. 機密や独自ノウハウに関するデータの国内保全のため仕組みの検討
  6. 日本におけるOpen AI社のプレゼンス強化
  7. 日本の若い研究者や学生などへの研修・教育提供

勿論、これは一つの私企業が、日本に対して売り込みをしているだけで、別に国策として決めたわけでも何でもないのですが、どうもイヤなムードを感じます。

実は、現時点では、日本語におけるChatGPTのサービスの精度はまだまだ高くはありません。ほぼ実用段階に達している英語とは雲泥の差があるわけです。ですが、仮にChatGPTなどAIによる日本語の大規模な言語データの蓄積が進めば、日本語に関しても対話型のサービスはやがて実用化される時期が来るでしょう。そうなれば、日本語による知的活動のかなりの部分が影響を受けることになります。

ですが、ChatGPTを展開するOpen Ai社はアメリカの企業です。日本語の巨大な言語データにおける微妙な部分(政治的なもの、高度なもの、日本独自のものなど)のデータについては、海底ケーブルを通じてアクセスするのではなく、日本国内にサーバを置いたほうがいいなどと提案しているようですが、それでも外国企業のマネジメント下になるのは間違いありません。

Open Aiだけでなく、そしてこれと提携したりライバルになろうとしているGAFAMなどの勢力も、現時点では全てが欧米勢です。そうなれば、日本社会の活動の多くの部分、それこそ知的活動の多くが外国勢力によってコントロールされることになってしまいます。

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