世界にバレた日本の防衛能力。Jアラート騒動が証明した「真実」

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頻発する北朝鮮のミサイル発射実験。4月13日には北海道周辺への着弾を警告するJアラートが発出されましたが、自衛隊が肝心のミサイルを見失うという大失態を演じてしまうなど、その対応能力が問題となっています。日本はこの先、核開発を含めた北朝鮮問題にどう対峙してゆくべきなのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、現状維持を図るべきとしながらもそうした対応が困難である理由を解説。その上で、日本の安全が著しく脅かされることを防ぐためになすべきことを考察しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年4月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

北朝鮮問題、「現状維持」は可能なのか?

世界には様々な問題があります。問題があるのなら、それを解決するべきだというのは、余りにも素人的な考え方であり、政治の実務というのは、必ずしもそのような発想法で動いているのではありません。

問題といっても様々な種類があります。単純な問題、つまり現状は異常事態であり、ダイレクトに危険に結びついている、しかも法律や倫理に反した状況でもあり、そのリスクを除去するコストは許容範囲内、そんな問題であれば「解決」を選択するのが通常でしょう。

ですが、多くの問題は必ずしもこうした条件に当てはまりません。明らかに問題はあるが、解決しないという「現状維持」が当面は最適解という種類の問題というのは、意外に多いのです。

東アジアにおいて、例えば台湾問題というのは、この「現状維持」を当面は選択してゆかねばならないケースになっています。台湾の問題というのは、複雑です。まず、現在の台湾は、1949年に国共内戦で敗北した国民党軍が大陸から避難して台湾島にやってきたのが始まりです。

国民党は、蒋介石が苛烈な軍政を敷いていました。その蒋介石が厳しく取り締まったのは、独立運動でした。「台湾は台湾だけで自立したい」という発想法は、そんなものを認めると蒋介石の「本土再侵攻」という方針を否定する、つまりは国民党政権を否定することになるからです。

従って、台湾の国民党は中国本土各地の各省から「選出」された国会議員による議会を持ち、国中にできもしない「大陸光復(大陸を解放する)」というスローガンを掲示していました。そしてこの方針に反する「独立派」を取り締まったのです。

その中華民国は、長い間国連の常任理事国であり、日本やアメリカなど「民主国だが、共産主義独裁国は敵で、右派の開発独裁は味方」と思っていた勢力からは、中国の正式な代表とされていました。

ですが、キッシンジャーはその「不自然さ」を解決すべきと考えつつ、同時に中ソを引き裂けば中国を自陣営に引き込むことができると考えて、台湾とは断交、そして台湾のみを支配している中華民国は国連から追放、そして中国を国連常任理事国に入れ、正式な国交を結んだのでした。日本は田中角栄が判断して、これに基本的には追随しました。

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