中国が米国との関係改善に動く可能性
中国の李輝ユーラシア事務特別代表は、「中国は、我々が本当に戦争を終わらせ、人命を救い、平和を確立したいのであれば、戦場への武器の送付をやめることが重要だと信じている。そうしなければ、緊張は高まるだけだ」という。ロシアのウクライナ領土からの撤退を述べていない。
これで、仲介するとした中国のロシア寄りが鮮明化したことになる。この案にインドネシアも同調しているので、ASEAN諸国が親中的であることがわかる。
もう1つ、中国で「反スパイ法」が施行されて、「スパイ行為の疑いのある人が国外に出ることを許可しない」と定めた。これで、米国人200名が中国から出国できない状態になっているし、自国の親米派の人たちもスパイ容疑で捕まえられることになる。
とうとう、欧米と中国の対立が明確化して、欧米対中ロの構図になることが、より鮮明になったようだ。
この上に、米軍偵察機の前をJ-22戦闘機が横断して、危険な行為をしたと米軍が申告すると、中国は偵察機は中国領土侵犯であり、許せないと回答、米国がシンガポールでのアジア安全保障会議で米中国防相会議を提案したが、中国は拒否した。
このように、米中対決が一層深まっている。
この影響は日本企業も受けて、中国への半導体材料や半導体製造装置の輸出が審査されることになり、多くが輸出負荷になるようである。
この中、バーンズCIA長官が隠密訪中した。米中の不測の事態回避という文脈であるが、中国が米国と関係改善に動く可能性がある。
それが、日本の半導体材料や半導体製造装置の輸出規制の緩和との引き換えに米国人200人の出国であろう。成立するかどうかはわからない。
もう1つが、国境の街サランジで、イランとタリバンが戦闘状態になり、タリバンは宣戦布告した。紛争の原因が水資源分配問題であるが、宗教上の違いもあり、紛争が拡大している。
イスラエルは、ISやアルカイダとの関係は良好であり、当然タリバンとの関係もよい。ということで、こちらも注意が必要である。
さあどうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2023年6月5日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
image by: 279photo Studio / Shutterstock.com