貸し出したICレコーダーに残っていた暴言
翌週の祝日の月曜日、Aさん親子は、どうしても探偵事務所に行きたいという弟を連れて。
それだけではなく、不登校状態になっているBさん親子、五月雨登校で保健室登校のCさん親子、Aさんとはズットモ(ずーと友達)の2人を連れて事務所にやってきた。
移転して広くなったとはいえ、9人が入室できる会議室はない。
仕方がないので、椅子だけ用意して、面談スペースのパーテーションを外して授業スタイルで面談に応じることになった。
Bさん親子もCさん親子も手作りの証拠を持参してきてた。
Bさんは入学早々、クラスの席次を間違えて自分の荷物を中心加害者の席に置いてから、突然言いがかりをつけられるようになって、男子に押されたり、階段で突き飛ばされたりして怖くなってしまった。
この言いがかりの際は学校が介入しているが、中途半端にお互い謝罪というのをやって、その記録は保護者が持っていた。
Cさんは両想いになった男子生徒と家が近く、一緒に帰っていたら中心加害者に脅されたそうだ。これはLINEでも行われていて、その記録は相手がトークルームから出てしまって大半を消していたそうだが、スクリーンショットで全体の半分程度の記録が残っていた。
ズットモの2人は、つい先日、Aさんを囲んで話していたら、中心加害者に手招きされた。
これを断ると、「てめーも、いじめてやんからな」と言って脅された。
Aさんに貸したICレコーダーにはこの暴言が残っていた。
またAさんの記録を中心に全員の証言や証拠をまとめると、それぞれが補完しあっていることもわかった。
加害の中心は同一人物の女子生徒、その友人が2人と男子生徒2人の計5人がいつも、つるんで周囲を巻き込みいじめをしている。
担任の教員は目の前でいじめが起きていても注意をしないで無視するタイプで、校長はいつも不在、区内では校長会会長をしたことがあるなど偉い部類に入る校長先生のようだった。
私は学校とのみ話しても埒がが明かないであろうと考え、ABCさん親子に翌日以降で教育委員会の学校指導課に行くようにアドバイスをした。
証拠類の記録をそれぞれまとめ、その場で体裁を整え文書化もした。証拠の添付もして、必要な記録が取り出せるように開示請求をどうするかということも紙にまとめた。
そうした記録を作っている間、スタッフが加害の中心人物らをネットで調べていると、Instagramの裏垢(裏アカウント)を発見した。
そこには、「ウェイウェイ」と妙な掛け声で5人が騒ぎ、ビール缶で乾杯している動画、古くから営業している様子の売れていなさそうな靴屋さんの店先におかれた「おじさんサンダル」を手に持って走る様子などが映っていた。
これらは学校に通告すると同時に児童相談所や警察、被害に遭ったであろう店主にも通報することにした。
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