安倍派5人衆に対する捜査に「OK」を出した岸田首相
検察が政界の大物をターゲットにした捜査を行うとき、必ず総理大臣の了解を得るのが通例だ。検察に独立性があるとはいえ、行政機関の一つであるには違いない。安倍派の幹部“5人衆”に対する捜査の着手について、岸田首相が「OK」を出したからこそ、事情聴取が行われる前に、政権中枢から彼らを一掃したのであろう。
萩生田氏や西村氏に負けず劣らず、ポスト岸田レースに意欲を燃やしてきた世耕氏は、12月20日発売の月刊「Hanada」2月号のインタビューで、「いずれは国の舵取りをやってみたいなとは思っています。それだけの経験を積んできた自負もある」と語っている。
その夢を叶えるために、もくろんでいるのが、次の衆議院選挙への鞍替え出馬だ。参院議員で総理になった例はこれまでにないからだ。
だがその前途に二階俊博元幹事長という難敵が立ちはだかっている。改正公職選挙法により、「10増10減」の新区割りが適用され、次期衆議院選では和歌山の衆院小選挙区は3から2に減ることになっている。新2区は選挙区の大部分が二階氏の地盤であり、二階氏は次期衆院選に新2区から立候補するとの見方が強い。世耕氏も、衆院議員だった祖父の出身地・新宮市が含まれる新2区での出馬をめざしている。二階氏が自民党公認となる場合、世耕氏は無所属での出馬も辞さないかまえだ。
この二人が、裏金疑惑の渦中にあるのは何という因果だろう。世耕氏は今年4月に麻生太郎副総裁と会食し、10月の参院徳島・高知選挙区の補欠選挙では、麻生氏と二人そろって現地入りするなど、キングメーカーにすり寄るかのような動きをしていたが、裏金問題が発覚し、苦しい立場に追い込まれている。二階派も派閥の収支報告書に記載しなかった裏金が直近5年間で1億円を超えるとみられ、事務総長の武田良太・元総務大臣や会長である二階氏もいずれ事情聴取される可能性が高い。
安倍派、二階派が狙い撃ちされ、背景に派閥の権力闘争のニオイも漂うなか、政治情勢はますます混迷の度合いを深めている。岸田首相は党の新組織を設置して議論を進めるというが、政治資金規正法の改正を明言したわけでもなく、本気で政治改革に取り組む気があるとは思えない。“不逮捕特権”が始まる来年1月の通常国会開会をにらみ、いつもの“打ち上げ花火”で時間を稼ぐだけなら、何もしないほうがましである。
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