すべてアベノミクスのせい。円安で日本を屈辱的なバーゲンセール国家にした安倍政権の大罪

 

安倍首相が犯した致命的な大ミス

しかし、肝心の民間での資金需要がなく、日銀当座預金には資金がブタ積みされるばかりで、日銀が供給する通貨であるマネタリーベース(日銀券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金)は増えたけれども、肝心の市中のお金の総量(マネーストック)はわずかに11%増えただけでした。

つまり、この時すでに、量的緩和の限界は明らかだったのです。識者は「ゼロ金利下での量的緩和は、国債とマネーを入れ替えるだけで、投資促進の効果はない」という「流動性の罠」のロジックを指摘します。

この時すでに「ゼロ金利」と「量的緩和」の金融政策では景気浮揚は望めないことがはっきりしていたわけです。

それを性懲りもなく「大規模異次元緩和」を導入したのが、のちのアベコベのミクスの第2次安倍政権でした。

量的緩和の量が少なかったからだ──という過激な経済理論をぶつ学者のインチキ理論に与したからでした。

さて、08年のリーマンショックを経て、その後も続く日本国のデフレ経済は、民主党政権(2009年9月~12年11月)の3年間をはさみ、ドル円相場は2011年10月31日に、一時75円32銭の史上最高値を付け、輸出大企業は悲鳴を上げ、日銀は大規模介入で対抗したのでした(この時の円高は、同年3月の東日本大震災への復興需要や保険金支払いのために円の需要が高まると見込まれたのが要因)。

こうした中、2012年11月に再び政権に返り咲いた当時の安倍首相が、長引くデフレ不況を「需要不足」ととらえたのは当然でした。

しかし、安倍首相が、「景気が悪いのは物価が上がらないからであって、物価を上げれば景気もよくなる」などと経済を短絡的に「逆向き」にとらえたのが、なんといっても致命的な大ミスだったのです。

安倍晋三という世襲3代目のひ弱なボンボンが、勇ましくも伝統保守を気取っていながら米軍の言いなりになる中、まんまとエセ経済学者のトンデモ経済理論を吹き込まれてしまった──というのが実相でした。

犬は嬉しいとしっぽを振りますが、安倍首相に吹き込まれた経済ロジックは「犬のしっぽを振り回せば、犬も喜ぶ」というものだったからです。

つまり、国の借金を増やして、べらぼうにカネをバラ撒けば物価が上がり、結果として景気がよくなる──だったのです。

ゆえに、この頃からアベノミクスは、「アベコベのミクス」と揶揄され始めます。

デフレ脱却というなら、まずは、さっさと消費税を廃止することを検討すれば、内需の拡大にもつながるというのに、その点には一切触れてこなかったのが、大バカな自民党や財務省だったといえるでしょう(当時は97年以降消費税率は5%)。

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