「アベノミクス・大規模異次元緩和」で最初に芽が出始めた効果を、大企業優遇の法人税減税のための「消費税率アップ」で見事に帳消しにした安倍元首相!
異次元緩和スタートの1年後には、日経平均株価も1万2,000円台から1万5,000円台にのせ、為替相場も90円台から100円台までの円安にのせました(民主党政権の2011年10月には1ドル75円32銭の最高値記録)。
そして有効求人倍率も何とか1%を上回らせ、消費者物価の前年比上昇率も、目標の2%には届かないものの、1.4%まで上げることが出来ていたのです。
しかし、異次元緩和のわずかな成果は、たった1年後のここまでだったのです。
安倍首相自らが、このわずかな成果を消費税率アップで叩き潰したからです(2014年4月・税率5%→8%)。
あとは、ズルズルと日銀は10年間も国債やETF(上場投信)を買い入れ続け、官製相場で、空虚な株高を演出し続けただけに終わったのでした。
ちなみに「アベコベのミクス」のトドメの最後っ屁は、2019年10月の8%から10%への消費税率アップでした。
そして、安倍首相は翌20年9月に、またしても「体調不良」を理由に政権を投げ出しました。異次元緩和の行く末に恐怖を覚えたから──と思うのは、うがちすぎの見方でしょうか。
アベノミクス失敗の最大要因は、このように消費税率アップだったのは明らかでしょう。消費税率など上げずに、2014年の1年目で異次元緩和もやめるべきだったのです。
際限のないダラダラ続く「戦力の逐次投入」式の金融緩和を行いながら、2回も消費税率をアップして消費を冷やすという、「大バカ」としかいいようのない安倍ボンボンの稚拙な政治判断であり、異次元緩和を驚くことに10年間も続けたのですから、極めて無責任です。
これで、借金禍の泥沼から抜け出せなくなったのです。
こんな景気浮揚と逆行する「アベコベのミクス」の大愚策を行いながら、日銀の異次元緩和策はなし崩しに続けられたのでした。
不況の時に、トンチンカンに増税を行うのが、反日・売国・世襲・カネまみれ・経済音痴の安倍晋三首相率いる自公連立政権でした。これも経団連の命令に従っただけでしたが。
自民党が、89年に消費に罰金を課すような3%での消費税導入から、どんどん税率を上げていけば、GDPの6割にも及ぶ個人消費を委縮させるのは、中学生でもわかる原理なのです。
おまけに「賃金下押し波及政策」で、国民所得を圧縮してきました。少子高齢化の人口減少もあって、こんな状況で景気がよくなるわけがないのです。
大企業から政治献金を毎年50数億円ももらっている安倍・自民党政権としては、大企業への法人税率や富裕層への所得税率を下げるために、安倍氏の脳内ではひたすら消費税率を引き上げることしか選択肢がない有様なのでした。
10年も膨大な金融緩和を続け、出口をなくし、世界的物価高騰に遭っても、金利すら上げられない中央銀行・日銀をポンコツ状態にしたのがアベノミクスの大罪だったのです。
マネタリーベース(日銀券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金)は、異次元緩和スタート直前の2013年3月の135兆円が、23年3月までに646兆円へと「4.78倍」も増えました。ブタ積み4倍です。
しかし、肝心の世の中のお金の総量を表すマネーストック(M3)は、同13年3月の1,152兆円が23年3月までに1,565兆円へと、たったの「1.35倍」にしか増えなかったのです。
結局、日銀は歴史的な円安を招き、取るべき手段すら消失してしまう自縄自縛という亡国的・敗北をもたらしたのです。
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