人生は「なるようにしかならないといった大いなる諦観もつことも大人になる大切な道筋
こうした一連のプロセスを心理学では「バーナム効果」と呼んでいます。
米国の心理学者ポール・ミールが19世紀後半に世の中を席巻した興行師P・T・バーナムの「誰にでも当てはまる要点というものがある」という名言にちなんで名付けた心理効果のことなのです(フォオアラー効果ともいう)。
「バーナム効果」とは、占い師が、お客のことを何もかもよく見通している──かのように振る舞うことで、いともたやすく信頼と権威を勝ち取っていくノウハウのことを指しているのです。
こうした「お約束通りの前振り」を使った占い診断の過程で、お客は占い師に対し、無意識のうちに「ラポール(信頼感)」を形成させていきます。
お客は、赤の他人にすぎない占い師に対し、何でも打ち明ける心積もりとなり、つまり、どんどん無防備になっていき、手練れの占い師に、自分をさらけ出し、いいように手玉にとられていくわけです。
とりわけ、人は若ければ若いほど、未来や将来に対する希望や期待をもっています。幸せになれるかどうかが気になるからです。
しかし、必ずしも、自分の思う通りになっていない現実を「壁」と感じ、悩みを募らせます。
ゆえに、若い人ほど人生の免疫力が足りないために、占いや未来予測といった形而上学的な言辞には惑わされやすくなるのです。
人生は、「なるようにしかならない」──といった大いなる諦観(ていかん)をもつことも、大人になる大切な道筋──であることを早く理解したいものなのです。
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