「パーキンソンの法則」が教えてくれること!
そして、組織の一員として、もうひとつ押さえておきたいのが、「パーキンソンの法則」です。
パーキンソンの法則とは、簡単に紹介すると、次の2つに要約されます。
- 仕事は、利用可能な時間まで拡大していく
- 支出の額は、収入の額まで膨張する
たとえば、企画書の締め切りが、余裕に感じられる今から20日後だとすると、着手するのが遅れたり、事前調査に時間をかけすぎたりなどで、結局は期限ギリギリに提出する羽目になったりします。
また、昇格して年収がアップしたら貯金が出来ると思っていたのに、なんだかんだと余計な買い物をしてしまい、結局貯金が増えなかったというような事例です。
これは国家レベルでいえば、財政赤字は増え続けることを意味しています。
また、転じれば、国会では小さな予算にはいろいろ難癖が付けられ大きな時間が割かれるものの、大きな予算は、その中身についての理解さえ及ばないために、注意深く顧みられることもなくスルーされる──ということにもなるのです。
なるほどと頷ける話ではないでしょうか。
これらは、人間の「特性」を物語った事例として、経験則に照らせば、誰にでもすぐにも思い当たるはずの出来事でしょう。
この極めてシニカルな法則を提唱し、人間の営みに警鐘を鳴らしたのが、イギリスの歴史・政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソン(1909年~1993年)であり、1957年に発表した著作によるものだったのです。
「パーキンソンの法則」には、他にもいろいろな事例があります。
役人の数が増えるのは、仕事が増大し、複雑になっていると解されやすいものの、「パーキンソンの法則」によれば、役人の数は、仕事の量に関わりなく増え続けるもの──と喝破されます。
役人は、自分の地位を偉く見せるべく、部下を増やしたがり、お互いの仕事を創り出す習性に支配されているからだ──となるのです。これは役人に限らず、会社員にも、あらゆる組織に当てはまることでしょう。
また、パーキンソンの著書の冒頭には、極めて挑発的な言辞が掲げられています。
「学校の先生や生徒にとって、世界での物事は合理的なはたらきで決まると信じられているだろう。たとえば、国民の自由な意思で国会議員が選ばれ、その中で最も有能な人物が大臣となり、また民間では株主が重役を選び、その重役は、社内の持ち場における最も有能な者たちにポストを割り振っていくが如きである。(中略)しかし、多少とも世の中の荒波をくぐり抜けた人間にとって、そのような考え方は笑止千万である」と喝破しているのです。
日本の政界を見ていても、つねにカネ絡みの問題がつきまとい、議員は封建領主になったような気分で、一族の繁栄のみを維持しようと世襲議員だらけになっています。
議員という職位が、報酬といい、待遇といい、恵まれすぎているからなのです。オイシイ特権は、代々自分の家系で固めたくなります。
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