「偶発的なチャンス」をこそ、自らに引き寄せよう!
「何で、こんなバカがうちの社長なの?」と組織のサラリーマンたちが呆れるようなことが、突発的に起こるのは、まさしく「ピーターの法則」をなぞっているかのような事態なのです。
「能力」だけでなく、人物の「良識」や「人格」といった属性が、職位のレベルに追いついていないこと──が如実に窺える事例は数多く見聞きできるところなのです。
こうしたことも、その背景について、しっかり思いを致せば、あながち「上司がバカで困る」と義憤に駆られることも、少しは和らいでいくようになるのではないでしょうか。
上司が本質的にバカなのではなく、その上司の「能力・識見」が、その職位に見合っていないとか、その職位のスキルが不足しているだけだから仕方のない現象でもあるわけなのです。
たまたま平社員時代に、好条件のタイミングとその時のポジショニングで実績を上げられた人物が、上層部から注目を集め、昇格させてもらって職位を上げただけのことで、その地位については、そこで求められる「能力」を十分発揮できるとは限らない事例なのです。
ゆえに、部下からは「バカ」に見えます。
平社員時のタイミングやポジショニングが悪ければ、こういう人は、きっと、ずーっと平社員のままだったかもしれないわけだからです。
ある意味、気の毒な事例と言ってもよいでしょう。
組織に属するサラリーマンは、おしなべて「運」に左右される要素が強い──と思っていれば、「バカな上司」への義憤に駆られる頻度も減っていくはずでしょう。
むしろ、一介のサラリーマンであるならば、自分にもこうしたよいタイミングとよいポジショニングという「運」を呼ぶ行動を心がけるべきでしょう。
「無能の階段」をともかく昇り、今より多い報酬をゲットするためにです。
あるいは「無能の上司」を壁と感じて悩むヒマがあるなら、ともかく新しい自分の道筋を構築する方法を考えたほうが賢明でしょう。
いずれにしろ、ラッキーなタイミングとポジショニングという環境を自分にもたらす行動をとらなければ、未来は開かれないからです。
スタンフォード大学心理学部のJ・D・クランツボルツ教授のチームは、世の中で大成功したと認められる人物数百人を対象に、成功の要因分析を徹底して行っています。
その結果、成功者の約8割の人が、「自分の成功は予期せぬ偶然によってもたらされた」という認識だったことを突き止めます。
このことをまとめて、1999年に発表したのが「計画された偶発性」という理論でした。自分に特別な能力や才能があったから──と答えた人はほとんどいなかったからです。
人生の成功は、予期せぬ偶然によって8割が形成される──という理論の肝は、「良い偶然に巡り合えるように行動すること」だったのです。
これをクランツボルツ教授は、「偶発性のチャンス」が起きやすい環境に身を置くことと喝破しています。
まさしく、人生成功の鍵は、ラッキーな「タイミング」と「ポジショニング」という環境に左右されるわけです。
サラリーマンとして、組織を構成する一員である人は、このことをしっかり覚えておくことが大事です。
自分も、チャンスを見逃すことなく、よい「タイミング」や「ポジショニング」を外さないためにです。虎視眈々と、そうした環境を狙っていくことが大事です。
そうすることで、組織の中の「無能の階段」を上手に登っていけるようにもなるはずだからです。
こうした成功法則に興味のある読者の方は、著者の心理学系の別名義(神岡真司)の『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』(ワニブックス刊・税込1,425円)をご覧いただくと、詳しい成功者の軌跡が辿れますので、きっと参考になることでしょう。
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