安倍氏“暗殺”から2年。何ひとつ解明されていない自民党と統一教会「闇の本質」を有田芳生氏が斬る

 

ただし過大評価は禁物

ただし注意しなければならないのは、統一教会は自分たちを大きく見せようとする体質がある。教団は関連団体である天宙平和連合(UPF)の集会に安倍晋三元総理のビデオメッセージを出させたことなどを利用して、内部にも外部にも誇大な組織像を吹聴してきた。安倍晋三にすれば、権力の源泉である選挙に勝つためには、統一教会をも利用した。トランプ政権が誕生するとき、安倍晋三総理が最初に面会できたのは統一教会の力だという幹部の言説も事実ではなく外務省の成果だ。

文鮮明教祖が「世界7か国を支配する」「王の王」になると誇ったことは、日本の組織でも内部で利用されてきた。霊感商法などを行う信者たちの行動を励ましてきたのだ。統一教会を過大にも過小にも評価することなく、等身大の実像を見つめなくてはならない。

統一教会の本質は「文鮮明機関」(アメリカのフレイザー委員会報告書)であり「反共謀略組織」だ。あくまでも事実に基づいて、推測を排除しないと、教団を「日本政治を支配する」モンスターのように描く陰謀論にはまってしまう。しかし反面、岸田政権のやり方は、長年、自民党を蝕んできた統一教会の浸透工作の実情とその先導役を演じてきた岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三3代の犯罪性を解明することなく、単に「やってるふり」だけで早々に蓋をしてしまおうとするものと言える。

統一教会は解散させなければならないが、それが霊感商法などで日本社会に多大な損害を与えたばかりでなく、自民党政治に深刻な腐食をもたらしたその被害の全体を余すところなく解明した上で、正しく裁かなければならない。

★『誰も書かなかった統一教会』(集英社サイト)

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年5月27日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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