トヨタ・業界・国交省。自動車型式指定不正問題で「最も罪深い」のは誰だ?クルマの安全を脅かす事なかれ主義日本の大問題

 

トヨタが犯した「6つの違反」のうち「最も悪質」なのは?

具体的な「問題」は次の6種類です。

(1)は「エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用」というものです。文面だけを読むと、衝突試験をサボって炊飯器のタイマーのようないい加減な機器を使って試験をしたように読めます。ですが、専門家や現場の方などが書いた資料を総合すると、そうではないようです。

具体的にはエアバックが乗員を保護しているかを試験するであったそうです。その際に、衝突を感知してエアバックを作動させる正規のマイコン(チップ)を作動させる代わりにミリ何秒という高精度の電子タイマーで発火させて試験しているようです。

つまり、これはエアバックが発火して展開する際の動作を試験するものだそうで、それを実際の衝突を使って行うと、発火しない場合もあるわけです。ですから、電子タイマーで発火させた結果は信憑性があるのですが、日本基準の試験手順とは異なることになるということです。

(2)は「規定と異なる衝撃角度」ということで、人間との衝突のインパクトを試験するものです。具体的には、人体に見立てた鉄球を衝突させる際に、日本基準は50度なのに、欧州基準のより厳しい65度の衝撃角で試験していたようです。より厳しい欧州基準のデータでクリアしていれば、安全面では問題はないわけですが、日本のルールには型式として違反していることにはなるというものです。

(3)は、「選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用」というもので、クルマの衝突位置が左右逆の試験結果、つまり左ハンドル車のデータを、そのまま使ったようです。実際は、設計上は左右で全く条件が同一のため、安全確認には問題はないそうです。ですが、日本の手順には違反したことになるようです。

(4)は、「規定と異なる台車重量」というもので、衝突試験の際に、日本基準の1100キロより重たい1800キロの評価用台車を使用したようです。つまり、より大きな衝撃で評価したわけで、当然、1800キロのもののほうが、より安全性を確認できたはずです。ですが、日本ルールには違反したことになります。

(5)は「規定と異なるブロックで試験」で「古い積み荷ブロックの要件にて認証申請をしたもの」だそうです。

(6)は、「出力点の制御調整」で、これだけは、トヨタとしては問題があったとしています。具体的には、エンジン出力試験で狙った出力が得られるようにコンピュータ制御を調整し、再度試験をしたデータを使用していたらしいです。

トヨタとしては、RXは狙った出力が得られず、そのために調整したデータを使用してしまったそうです。その後の調査では、試験用の排気管の潰れが原因と判断しているとしています。

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