大手メディアは一切無視。小池百合子都知事と三井不動産の「癒着」関係と都庁元幹部14人の天下り

 

巨人軍の本拠地も移転か。築地再開発事業も担う三井不動産

築地市場跡地については、事業予定者に選定された企業連合が今年5月1日記者会見を開いた。代表企業の三井不動産の植田俊社長は「築地の歴史を踏まえた上で、東京の国際競争力を高めるために活用したい。世界中から人々が集まり、称賛されるようなまちづくりをしていきたい」と再開発の狙いを語った。事業を請け負ったのは、三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社など計11社で構成する企業連合で、野球やサッカー、バスケットボールなどスポーツ施設、コンサート会場に転用可能な多機能スタジアムを中心に、ホテルや複合ビルなどを整備、2032年の開業を目指す。焦点の1つは、読売巨人軍の本拠地をここに移転するかどうかだが、読売新聞社は「未定」としている。

さて、いま問題の神宮再開発事業も、その中心は三井不動産である。月刊誌「世界」の最新7月号の巻頭特集「スポーツと権力」の中で、都市計画の専門家の大方潤一郎=東京大学名誉教授と経済ジャーナリストの佐々木実の「神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う」と題した対談が論点をよく網羅しているので、そのものを読むことをお勧めするが、ここではいくつかの要点を(私なりに要約・改変して)メモにしておく。

▼この事業は「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」と言い、すでに完了している《ステップ1》では、次のものが建った。

  • 新国立競技場(5階建て60m、19年竣工)
  • 日本青年館・日本スポーツ振興センタービル(16階建て70m、17年竣工)
  • ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア(14階建て60m、19年竣工、日本体育協会と日本五輪委員会のほか各種競技団体が入居)
  • ザ・コート神宮外苑(23階建て180m、20年竣工、老朽化した外苑ハウスの建て替えで、分譲は三井不動産レジデンシャルが担当)
  • 三井ガーデンホテル神宮外苑(13階建て、19年開業、再開発事業の枠外だが、新国立競技場の隣の明治神宮の土地を三井不動産が借りて建てた言わば便乗利得)

▼五輪開催後の分は《ステップ2》で、2023年2月に都から事業者である三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事に施行許可が与えられた。これによりこれから建設されようとしているのは次のものである。

  • 高さ185mと190mの超高層オフィスビル2棟
  • 高さ80mのビル
  • 高さ60mのホテル併設の野球場
  • 高さ46mの屋根付きラグビー場

これらの建設の邪魔になるとしてイチョウ並木をはじめ貴重な樹木を切り倒す予定であることが明るみに出、大問題となった訳である。

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