両親や教師らの進言を素直に受け入れ、極力リスクを避ける傾向があると言われる若い世代。彼らの多くにとって恋愛もリスクであり、民間企業の調査では20代男性の約半数が交際の経験がないとの結果もあるのが現状です。こうした過度のリスクヘッジに走る傾向に異を唱えるのは、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さん。坂口さんは自身のメルマガ『j-fashion journal』で今回、そのような世代のライフスタイルに対する疑問を綴るとともに、アメリカのZ世代に現れ始めているという「とある変化」を紹介しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:真面目な世代の代償
真面目な世代の代償
1.恋愛はリスクだ
少子化問題が深刻だという。それ以前に結婚しない若者が増えている。というより、恋愛もしない。出会いが少ないというが、世界の半数は男性であり、半数は女性だ。出会っていないはずはないが、出会ってはいても双方に関心がなければ何も進まない。
進学校で恋愛するのは負け組だそうだ。どうせ良い学校に入れないと諦めた学生が勉強しないで恋愛にうつつを抜かす。優秀な人は勉強して一流校を目指す、と考えるらしい。
親も教師もこうした考え方を支持する。誰も勉強より恋愛に価値があるとは言わない。親も教師も子供が勉強してくれたほうがいいからだ。
昔は、近所のおじさんやおばさん、親戚のおじさんやおばさんと接する機会が多かった。そういう人たちは、ある意味で無責任な本音を教えてくれた。
「勉強もいいけど、それだけでは幸せになれない」「私は勉強は苦手だったけど、社会に出れば関係ない」「あの会社の社長は昔はどうしようもない不良だったけど、今では大金持ちだ」等々。更に、小説や詩の世界では、「すべてを捨てて恋愛に生きる」ことの素晴らしさが描かれ、空想の中で憧れたものだ。
こうして、子供ながらに建前と本音の世界を学んでいく。先生は自分の仕事として勉強しろと言う。親も世間体や自分の老後のために子供に勉強しろと言ってるのかもしれない。もちろん、子供のことも考えてくれているのだろうが、そこには自分の都合も混ざっている。だから、自分の生き方は自分で決めなければだめだ。昔の私も、そんな風に考えていた。
今の学生は親や教師以外の大人と接する機会が少ない。真面目な生き方だけが刷り込まれていく。
現在は、リスクという概念が定着し、リスクを避けることが賢いと考えるようになった。恋愛はリスクであり、妄想もリスクである。自分の考えで行動することもリスクだ。先生や親の言うことを聞くのがリスクを避ける賢い選択であると、自分自身が納得している。
この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ