「小泉進次郎氏を支援する」菅義偉前首相の決断
もう一人のキングメーカーとして麻生氏と対立する菅義偉前首相は、麻生氏の動きで踏ん切りをつけやすくなった。河野氏と袂を分かち、小泉進次郎氏の出馬を後押しして支援する。その方向に邁進するにちがいない。
石破茂氏も菅氏を頼りにしていたが、菅氏の決断は揺るがないだろう。石破氏が推薦人集めにさえ苦労しているといわれる所以だ。
小泉氏と並んで若手のホープとされる小林鷹之氏は折り紙付きのエリートで、20人の推薦人も安倍派の保守系議員を中心にすでにメドがついているらしい。本人は二階派だが、支援議員は派閥横断的というところが、「総裁選ショー」の企画にぴったりマッチする。
そんな気負いもあってか、8月19日に先陣を切って出馬表明の会見を開いたのだが、なにしろ知名度が低すぎる。選挙の顔としてどこまで評価されるかが問題だ。
前回の総裁選で、高市早苗氏の推薦人として名を連ねていた保守派の一人だけに、高市氏との間で票が割れることにもなりかねない。
こうして名前の挙がった10人ほどのうち、20人の推薦人を確保できた人たちが総裁選に出ることになる。多い方がショーアップには都合がいい。中身はなくとも、侃侃諤諤の議論をしているように見せることができれば、自民党としては万々歳だろう。
各テレビ局は競ってテレビ討論会や演説会などの様子を流すだろうし、そのうちに国民の多くは思考停止に陥り、頭の中が自民党への不信から新総裁への期待にすっぽり入れ替わるかもしれない。
一方、ほぼ同時期に行われる立憲民主党の代表選(9月7日告示、23日投開票)がすこぶる地味な状況になるのは容易に想像できる。泉健太氏、枝野幸男氏、野田佳彦氏、江田憲司氏らの名前があがっているが、どの顔にも新鮮味はない。何かやってくれそうだという期待感がわかない。
しかも、テレビ局は自民党ほど熱心に報じることはないだろう。勢い、人々の関心は自民党に集中する。