板橋区と再登校支援企業「スダチ」とのドタバタ劇
2024年8月5日、不登校児童や生徒を支援する会社という株式会社スダチと不登校支援で連携するとプレスリリースを出し、報道された。当初は平均3週間で再登校9割以上の実績というスダチの成功率など画期的かと思われたようだが、不登校支援の活動団体や専門家からはすぐさま疑問が沸き上がった。
板橋区のホームページではその後すぐに、「板橋区と株式会社スダチが連携し不登校支援を強化」という記事を出しているが、批判が集まると、これを削除し、現在は「板橋区と株式会社スダチが連携し不登校支援を強化という記事がSNS上で掲載されておりますが、その事実はございません。」という記事を掲載している。

● 「板橋区と株式会社スダチが連携し不登校支援を強化」という記事について
報道によれば、板橋区の不登校支援メニューとしてトライアルで進めていくことが合意されていたようで区議がスダチを板橋区に紹介し、5月には話し合いがあって、7月下旬には板橋区教委が一部の小学校にスダチを紹介していたという。
板橋区側は「言葉違い」というような説明を報道機関などにしているようだが、どう考えても無理があるだろう。結局、板橋区はスダチとの連携を取り止めるもしくは、そもそもそんな話はないとしたいところで、事実上連携自体は無くなったと思われるが、区教育委員会としての知識不足、認識不足、低い意識を露呈したということには変わりないだろう。
私はいじめの被害者支援という立場を通じて不登校の児童生徒にはかなり頻繁に会うし、その保護者から頻繁に相談を受けるが、前述のスダチのホームページによると、完全オンラインで親が指導を受けるというスタイルで、直接こどもが関わらない手法というのは、「ん??マジか??」という疑問だらけになる。
きっと、大々的に宣伝しているわけだから、1,000人中最短で2日で不登校から脱したり、平均3週間でおよそ90%以上のこどもが登校できるようになるのだろう。その一方、より酷くなったと訴える親が報道に登場していることから、この宣伝文句が事実でなかったら、大変な問題だ。
私の経験不足かもしれないが、親の教育方針や関わり方を変えた程度ではむしろ逆効果になるだろうと肌感覚で感じている。肌感覚でというのは、そうしたことはやったことがないからだ。実際に会っていて、危険だと実感しているし、そもそもで、「再登校」することが正解だとは思えないのだ。
今現在、私はいじめ被害者で教育委員会と話し合いが始まっている小学6年生の男子児童と小学3年生の女子児童の勉強を見ている。私は一応教員免許を持っており、塾講師の経験が有るため、ドリルをやってもらい、教科書でわからないところを解説する程度のことだが、そういうふれあいの中でも、彼らに再登校しろというのは酷以外のなにものでもなく、またあの地獄の中に送り出す気にはならない。
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