「いじめは不登校の原因の0.2%」は本当なのか
さて、こうして私が不登校について書くと、不登校の専門家の一部から、いじめはあんまり関係ないから、いじめの世界に戻れと言われることがある。今回も間違いなく、言われることだろう。
確かに文科省のデータによれば、「いじめ」は不登校の原因として「0.2%」だと書いてある。私もこのデータは確認しているが、そんな「レアケース」がこんなに頻繁に目の前に起きているのかとオバケを見た気になるのだ。
しかし、NHKが2023年10月4日、令和2年度に文科省が行った調査の結果を記事にしている。その調査とは全国の小中学校に通う、前年度に不登校であった小学6年生と中学2年生、あわせて2万2,000人余りを対象に行われ、このうち2016人から回答があったという調査結果では、「いじめや嫌がらせがあった」と回答した小学生は25.2%、中学生も同様に25.5%であったと報告しているのだ。
調査というのは選択型の回答方式などその方法や調査をする側のバイアスでも結果は変わるものだが、0.2%と25%の差はあまりに開き過ぎていると言えるだろう。
ちなみに、これも文科省の調査結果である。どっちが本当なの?ぜひとも、明確に答えを出してほしいところだが、すでに、不登校や長期欠席対策をこども家庭庁が始める中で、いじめ問題にも深いかかわりがあると前提にしていることから、25%が現実なのだろうということになろう。
「通学以外は学びではないという意識」が問題
不登校対策はこれまで様々な試みが行われてきている。例えば、学校内にカフェを作り、誰でも自由に出入りができて好きに過ごせるという部屋を設けている学校があったり、オンラインをフル活用して授業が受けられる仕組みを作ったり、公的なフリースクールのような学校を作ったりと、自治体の取り組みよって様々で、それぞれ効果は出している。
しかし、対策は1つではないと私は思うのだ。例えば、クラスでいじめに遭い、適応障害などでクラス内に一歩も入れない子は、加害者の頭が画面上をかすめただけでも、オンラインの画面を目の前にする事だけでも苦痛になってしまう。
学校自体がトラウマの原因になっている場合は、そもそもで校内のカフェにはたどり着くことができないのだ。
つまり、選択肢はあればあるだけ良い、もちろん限りある自治体予算の中であるから、その限りはあるだろうし、ほぼ選択されない選択肢は用意の必要もないかもしれないだろうが、今、不登校対策に閉そく感と限界を与えているのは、教育現場によくある「通学以外は学びではないという意識」だ。
多様化する社会の中、当然に問題も多様化するのだ。柔軟かつ多様性を認めた教育制度を当たり前にすることこそ、この国が将来を豊かにする道なのではなかろうか。
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