旧ジャニーズ事務所から事業を引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT」社が、所属アーティストの公式カレンダーを2年ぶりに復活させます。当然、ファンからは喜びの声があがっていますが、芸能関係者の間でもこのニュースは注目度抜群。「毎年カレンダーを出版する権利」は出版社に大きな利益をもたらし、旧ジャニーズ事務所はその“利権”と引き換えに「メディアコントロール」を行ってきたという過去があるためです。ただ、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんによると「STARTO社は今回、この旧ジャニ時代の悪習を終わらせようとしている」とのこと。どういうことなのでしょう?
出版社がヨダレをたらす“カレンダー利権”に変化の兆し
『STARTO ENTERTAINMENT』から所属アーティストの公式カレンダーが発売されるようです。
旧ジャニーズ事務所の頃は、これが業界内で“カレンダー利権”とも呼ばれ、ジャニーズによる“マスコミ支配”の温床になっていました。
分かりやすく言えば「カレンダーで億の売上金額が舞い込むのだから、版元が出している週刊誌でスキャンダルは止めてネ…」という暗黙のルールがあったわけです。
旧ジャニ最後は9アーティストでしたが、2年ぶりに復活し『STARTO~』社としては初となるアイドル・カレンダーは5アーティストだそうです。
- なにわ男子、関西ジュニア → 『集英社』(Myojo、Duet)
- Travis Japan → 『マガジンハウス』(anan)
- Aぇ! group → 『ワニブックス』(WiNK UP)
- ジュニア → 『ワン・パブリッシング』(POTATO)
週刊誌を発行する出版社をすべて排除して、アイドル誌を発行する出版社に花を持たせた印象ですね。
なぜ“カレンダー利権”と呼ばれていたのか…それは、例えば『King & Prince』カレンダーを見れば一目瞭然でしょう。
2023年度版同カレンダーは定価2,690円、売上は公称、約35万4,850枚ですから、単純に掛け算をすると9億5,454万6,500円になります。
1年に1度、こんな定額収入があるとしたら、どんな出版元だってよだれを垂らしながら事務所の“番犬”と化すことは避けられないでしょう。
アーティストによって“当たり外れ”はあるにせよ、“腐ってもジャニタレ”ですからね…オイシイ出版物だったわけです。
旧ジャニ事務所とジャニ担記者の癒着
“オイシイ”といえば、普段から上手に旧ジャニと付き合って、“オイシイ”アーティストのカレンダー出版権を手に入れることが大事な仕事だった、ジャニーズ事務所担当記者…いわゆる“ジャニ担”を思い出します。
“俺(私)が〇〇のカレンダー出版権をもらって、出版社に億の利益をあげさせたんだ”…とふんぞり返っていた人たちです。
“カレンダー利権”で、ピノキオのように鼻がニョキニョキと高~くなっていた彼らの楽しみはもうひとつ、旧ジャニ・アーティストたちの海外公演でした。
旧ジャニが用意してくれる移動のエアラインはほぼほぼファーストクラス、泊まるホテルも4つ星セミ・スイートクラス…海外公演の取材と称してたった数時間の“お仕事”以外は、観光三昧でした。
こんな接待――いえいえ取材ですね、あくまでも――を受けてしまえば、“お座り”でも“お手”でも、永遠に御主人様に忠誠を誓ってしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
ただ、鼻持ちならなかったのは、そんな待遇を受けているジャニ担が、まるで自分の力で豪遊していると勘違いしていたことでした。
“ジャニ担でなければ、肩叩きを待つ、単なる悲しい窓際族”だと、全く自覚しないんですよね…。
“カレンダー利権”に潰されたスクープとスキャンダル
私が週刊誌記者時代、いちばん悔しい思いをしたのは、木村拓哉と工藤静香の電撃結婚のニュースでした。
トップ・アイドル同士のあまりにも電撃的な結婚報道にも関わらず、取材態勢は“当事者2人はもちろん、関係者や家族には一切接触するな!”という箝口令が敷かれていたからです。
ジャニ担が書く、微笑ましい幸せなエピソード以外、何も記事にできなかったというわけです。
実際、当時の私には、キムタクが通い同棲していた女性との関係を清算したとか、千葉県の某サーフ・スポットに行けば、間違いなく戯れるラブラブのキムタクと静香の写真が撮れるという情報が舞い込んでいました。
目をつぶれば、神保町のコーヒーショップで、当時親しかったアイドル雑誌の編集者と「静香はYOSHIKIと本当に別れた?」とヒソヒソ話をしていたシーンが蘇ってきます。
STARTO社の本気度は?忖度とメディアコントロールの終わり