おかしいのは地方ではなく大阪と東京だ
では、多くの地方の場合はどうかというと、少なくともつい最近までは、地元の公立中学に行って、各県の名門県立高校に入った生徒は、大学受験でもかなり善戦できていました。
ですが、まず、教員が世代交代するにつれて、「時間外の進学指導の補習はやめよう」という妙な話が進行中です。
同時にそうした地方には、塾産業の魔手が伸びています。さらに塾の進出とセットになって、私立高の進出や、大都市圏の大学が私立高の系列化などを狙っています。
ということは、私立高校の無償化は、これらのトレンドを加速させる要因になるのです。
島根県の丸山達也知事が、
「日本の子どもが教育が受けられなくなるような制度改正をいつまで続ける気なのかと、それを言っているんですよ。だから『国賊』だと言っているんだ。何が高校無償化ですか。日本国民に教育を受けさせる気があるのかということを大臣にお伝えいただきたい」
と全国知事会で述べたというのは、そういうことです。そして、この丸山知事の発言は間違っていないと思うのです。
おかしいのは、東京と大阪のほうです。
「公立中学が崩壊して、富裕層はほとんどすべてが中高一貫校を目指し、小学4年生から高額な塾通いをしている東京」
「府立高校がエリートで、私立はその滑り止め。したがって塾に行けなかった子どものチョイスが私立になる大阪」
については、どちらも完全に間違っているし、正確に言えば憲法で保障された教育を受ける権利が侵害されている状況だと思います。