定額制動画配信サービスのNETFLIXは、私たちの生活に変化をもたらしたといっても過言ではありません。今回のメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では、NETFLIXが日本に上陸したことで起こった経済的・心理的影響と、今後の家族のあり方も含めて語っています。
NETFLIXが日本社会に与えた経済的、心理的影響
「NETFLIX」という単語が、いまや我々の生活に当たり前のように存在している。アメリカ発のこの動画配信プラットフォームは、日本に上陸した2015年以降、急速に拡大を遂げた。
視聴体験そのものを一変させただけでなく、経済的、そして心理的にも社会に広範な影響を与えてきた。今回、その影響を歴史的背景と複合的要因を交えて分析し、日本社会の変容を読み解いてみたい。
■ 歴史的背景と導入初期の反応
ネットフリックスが日本に上陸したのは2015年9月。すでに米国を中心に世界各国でサービスを展開していたが、日本市場への参入は、文化的にも言語的にも「壁」があるとされた。
挑戦的な動きであった。当時の日本では、HuluやAmazonプライム・ビデオなどの先行プレイヤーが一定の地盤を築いており、地上波テレビもまだ強い影響力を持っていた時代だ。
自分もHuluに登録して、毎回驚きと楽しさで時代の変容を肌で感じていた。
しかし、ネットフリックスはその直感的なUIやアルゴリズムによるレコメンド機能、そしてなにより「独自コンテンツ」の力で日本の視聴者の心を次第に掴んでいく。
特に最近、『全裸監督』や『今際の国のアリス』といった日本発のオリジナルドラマは、国際的にも評価され、日本における「ストリーミングの主役交代」を象徴する存在となった。すごいなぁ、ネットフリックス。
■ 経済的影響とコンテンツ制作市場の構造の変化
まず注目すべきは、映像制作業界における「資金の流れの変化」である。ネットフリックスは、従来の地上波テレビが持っていた広告収入に頼らない「サブスクリプションモデル」で収益を上げている。
これにより、視聴率に縛られない作品制作が可能となり、実験的・挑戦的なコンテンツにも投資が回るようになった。
この構造変化は、日本国内の制作会社にとっても大きな転換点となる。
ネットフリックスは外資であるがゆえに、制作費が桁違いに潤沢であるという印象が強い。実際、従来の放送局が提示する制作費の数倍の資金を投じるケースもあり、多くの制作会社が“ネットフリックス案件”を求めて動くようになった。
ちなみにTBS日曜劇場で放送されたオリジナルドラマ「VIVANT」の制作費は、1話あたり約1億円とされている。これもネットフリックスの視聴を見越しての額だろうな。
また、コンテンツの「グローバル化」が進んだことで、作品の評価基準も変化した。日本国内で受けるかどうかではなく、アジア全体、あるいは世界中でウケるかが重要になった。
この変化は、日本のエンターテイメント業界が長年抱えていた“ガラパゴス化”から脱却するきっかけともなっている。
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