ホンマでっか池田教授が「人為的温暖化」に物申す。世間を混乱させる“陰謀論”のカラクリとは?

 

再現可能性は同じ条件の下で実験をすれば同じ結果が出るということだ。実験室内での研究であれば、条件をそろえることは比較的容易い。しかし、20世紀の終わりになって、人為的地球温暖化論が叫ばれるようになった頃から、この話はあやしくなってきた。19世紀半ば頃から、地球の気温は10年ごとに約0.1℃上昇しているのは事実である。この主因が人類による人為的なCO2の排出であるというのが、人為的温暖化論の主張だが、これは科学の理論としては実証不可能な議論なのだ。なぜなら、再現が不可能だからだ。

1988年にアメリカの気候学者ジェームズ・ハンセンが地球温暖化の脅威を警告して以来、マスコミは今に地球は炎熱地獄になると脅威を煽りはじめ、温暖化の主因は人為的なCO2の排出だとの説が、人口に膾炙し始める。私もしばらくはこの話を半信半疑ながら信じていた。1993年に出版した『科学は錯覚である』(宝島社)には次のような記述がある「CO2濃度の不可避的な増大に代表される環境問題はすべて定常システムでない不可逆システムの科学技術から生じています。従ってこれ以上地球環境を劣悪化させないためには、定常システムを持たない新技術の市場への参入を禁止すべきです・・・」。この記述自体は間違いとは言えないが、文脈からCO2濃度の増大が地球温暖化の原因だと考えていたことがわかる。

1996年に出版した『科学教の迷信』(洋泉社)では「人為的に二酸化炭素を排出しなくとも気候は変動する。だから、例え地球温暖化が事実だとしても、どこまでが自然現象で、どこからが人為現象かを証明するのは極めて難しい。(中略)実証をむねとする科学にとって、だから地球温暖化などといういかがわしい理論が、あたかも真理のようなふりをして跋扈するのは嘆かわしい事態のはずなのである。なぜ、地球温暖化理論は流行したのか。それはもちろん人々の恐怖心を煽ったからである。今や、温暖化論は政治の行方を左右するまでになってしまった。私は地球温暖化論がインチキだと言いたくてこのことを書いているのではない。今や、人類の行方を左右しかねないグローバルな現象を記述する理論であればあるほど、不可避的に実証不可能にならざるを得ない時代に突入したのである。言い換えれば、政治的に重要であればあるほど、科学的にはいかがわしいのである」。

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