核施設への空爆は「トランプの手柄」を演出する自作自演の猿芝居。イランの報復攻撃を免れぬ米国「独断専行」の重い代償

 

「核開発を大幅に遅らせた」と言い換えて自画自賛する裸の王様

こうした背景の中で、唯一「イスラム法学者による統治」を行なっているイランが一定の影響力を持つようになるためには、憎きイスラエルに対抗できる核兵器を開発し、地図上からイスラエルを消し去り、現在イスラエルが占拠している第3の聖地エルサレムを奪い取るしかないと考えたのです。ここには預言者ムハンマドが天に昇ったと言われる「岩のドーム」があるので、ここを手に入れれば聖地を2つ持つサウジアラビアにも対抗できると考えたのです。

これが、イランが核開発を始めた理由ですから、まずは「イスラム法学者による統治」ありきなのです。そのため、HPを大きく削られてもはやベホマラーが必要な現状では、トランプ大統領の強引な停戦案は、ある意味、渡りに舟だったのです。まずは停戦して、削られた体力の回復につとめる。これが石丸フレーバーの唯一の「再生の道」なのです。しかし、すべては「イスラム法学者による統治」ありきですから、もしもトランプ大統領やネタニヤフ首相が「体制転換」に言及し始めたら、イランの態度は大きく変わるでしょう。

今回、イスラエルがイランに先制攻撃を仕掛けた直後、アメリカに亡命中の第2代パーラビ国王の長男のクロシュ・レザー・パーラビ元皇太子は「イランの軍と警察と治安部隊に訴える。今こそ体制から離反して国民に加われ」というメッセージを出しました。すべての元凶は「イスラム体制」であり、この体制を転換しなければイランに平和は訪れないという考えなのです。これはイスラエルやアメリカとの共通認識です。

しかし、トランプ大統領は「大統領という名のビジネスマン」ですから、常に「自分の得」しか考えていません。地下施設の完全破壊は無理だった。濃縮ウランも持ち出されてしまったと分かっても、予算の掛かる追加攻撃などせず「核開発を大幅に遅らせた」と言い換えて自画自賛しました。これを見れば分かるように、ここでイランに「体制転換」を突き付けて面倒なことになるよりも、一時的に「体制転換」は引っ込めておいて、まずは「停戦させた英雄」としての自分をアピールするほうが得、と考えたのでしょう。

もちろんこれは、これまで数えきれないほどのデマを垂れ流して来たトランプ大統領の「停戦合意」というSNS投稿が、安定のデマでなく、珍しくも事実だった場合の話ですが‥‥というわけで、最後にトランプ大統領に一句プレゼントして終わりたいと思います。

梅雨空に遠のくノーベル平和賞 きっこ 

(『きっこのメルマガ』2025年6月25日号より一部抜粋・文中敬称略)

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