自ら孤立の道を転げ落ちていると見ても誤りではないアメリカ
暴れて強引についてこいと呼びかけても、本気で盲従してくれるのは、もう英国ぐらいではないでしょうか?(あとはトランプ氏に傾倒するアルゼンチンのミレイ大統領くらいですが、アルゼンチン政府が必ずしも盲従的に親米というわけではないようです)
カナダはアメリカ離れを明確にしましたし、メキシコもトランプ氏が敵視するならスルーする姿勢を取っています。ASEAN諸国もこれまで成長のためにアメリカを頼りにしてきましたが、中国やインドが力をつけてくるにつれ、うまく経済の多角化に成功し、アメリカ一辺倒でいつづける必要性が大きく弱まっています。
アメリカは今でも最強の国ではありますが、独特の二枚舌外交方針や、行き過ぎたイスラエルへの肩入れなどが他国を呆れさせ、自ら孤立の道を転げ落ちていると見ても誤りではないと考えます。
以前、今後の地政学的な傾向と、世界の多極化の話をした際、没落していくのは欧州と中国で、アメリカはカナダとメキシコと密接に統合した経済圏として君臨し、テクニカルには自給自足の経済圏をつくることが可能であることから、一大ブロックとして存続し、その力は中国を外して、日本を軸としたインド太平洋地域経済圏と太平洋を越えて結びつくことで、世界のパワーハウスとしての地位を確立するとお話ししました。
しかし、その前提となる結びつきが、現政権下で崩壊してしまっています。それでもアメリカは強国であり続けると思われますが、世界のすべての海に港を持ち、どこにでも駆け付けられるという超大国としての矜持は、そのプレゼンスを求めてきた各地域の各国から拒絶される事態がドミノのように起きれば、再度、ウイルソン政権時のように孤立主義のアメリカに戻るような事態が起きるかもしれません。
その際、アメリカの後ろ盾を失う欧州は没落し、自立できないのであれば、新たに寄りかかる超大国を探すのでしょうが、その際、与することができる相手は恐らく中ロぐらいになるでしょう。
落ちぶれる者同士の連携が成立するのか?それともつまらない大国主義の古いプライドが邪魔をして没落の道を転げ落ちるのか?
それは私には分かりませんが、場合によっては、アメリカも同じ轍を踏む事態になるかもしれません。
その状況を鮮明にし、加速させる起点が現在のトランプ政権になるのだとしたら、Make America Great Againはただの絵空事、またはただの遠吠えになってしまい、孤立主義のアメリカに傾くことになるかもしれません。
でも本当にアメリカは孤立できるのでしょうか?仮にできたとしたら、その時の国際社会はどのような様相になっているのでしょうか?
「アメリカは我が国にとって唯一の同盟国である」という外交姿勢を堅持する我が国は、そう遠くない将来に向けて、どのように国際社会で生き残り、不確実性が高まる世界でいかにかじ取りをしていくのか、しっかりとかつ明確にイメージし、準備しておく必要があると考えます。
もうすぐ参議院議員選挙が実施されますが、果たして私たちは世界の荒波に打って出て、国民を導くことができるようなリーダーを輩出できるような日本の礎を築くことができるのでしょうか?
そして自国と国民のためにアメリカを切り離すような大ナタを振るう必要性が現れた際に、思い切った舵取りを行うことができる日本を見てみたいと個人的には思います。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年7月11日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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