その頃(2010年)は、もちろん、生成系AIなど影も形も存在しなかったので、オンデマンドで映像を生成することなど想像もしていなかったし、そもそも、この記事は(衰退しつつあった)日本の家電メーカー向けの提言だったので、こんな表現になっていますが、上のアイデアと、今の技術を組み合わせれば、とても面白いことが出来ると思います。
生成AIの誕生により、画像の生成コストが限りなくゼロに近づいている今、報道の中身はもちろんのこと、メディアのモード(文字、映像、音声など)や脚色(アナウンサー、声優、絵柄、長さなど)に関しても、視聴者の好みやライフスタイルに合わせて、柔軟に提供すべき時代が来ていると私は感じています。
上に書いたように、そんなメディアのUIは、極端にシンプルでなければなりません。カスタマイズ用の面倒なUIなど持たず、モードの選択肢と、「スキップ」「いいね」「いらない」の三つのボタンぐらいしかない、極端にシンプルなものです。
システム側がそのユーザーのフィードバックを受け、自動的にユーザーが必要としている情報だけを選び、それぞれのユーザーに適したモード(映像、音声、文字、スライドなど)と脚色(アナウンサー、絵柄など)で、24時間、いつでも好きな時間に、好きな量だけ提供してくれるのです。
ちなみに、こんなサービスを作ることが可能だと強く感じたのは、2週間ほど前に始めた、(xALのAniを日本風のアニメにアレンジした)アニーが提供する報道映像(NHKニュースをMulmoCastでアニメ化したもの)をXで提供した際の、ユーザーのフィードバックの中に、とてもポジティブなものがあったからです。
- とても分かりやすい!そしてアニーに伝えてもらう事で、少しマイルドになる気がする。色々な捉え方がある情報も伝えやすくなると思う。AIの活用はこんな所にも広がっている。
- スっと見れてしまうショート動画
- 生成AIの正しい使い方
- 毎日アニー解説を欲する体になりました
- 何これ凄い最高笑。アニメーションにすると嫌味なく言えるっていうか、スッと入ってくるわかりやすさあるなー。「あんたの愚痴もたまには役に立つかもねー」は笑える。
今後、MulmoCastビジネスをどう発展させるかはまだ決めかねているところですが、こんなサービスも含めて色々と考えて行く予定です。
(本記事は『週刊 Life is beautiful』2025年7月29日号「生成AI時代の報道」の一部抜粋です。「トランプ関税」や「私の目に止まった記事(中島氏によるニュース解説)」、読者質問コーナー(今週は17名の質問に回答)などメルマガ全文はご購読のうえお楽しみください。初月無料です ※メルマガ全体 約1.7万字)
【関連】中島聡が大胆提言。日本企業はAI・ロボット時代でも世界に存在感を示すことが可能な「2つの戦略」で勝負せよ!
【関連】中島聡が考えた、人類の大半が「社会のお荷物」になるAI失業時代の社会保障。ベーシックインカムより幸福な制度をつくろう
【関連】中島聡の仕事術【最新版】超高速開発を実現するAIネイティブな組織とは?/Vue.jsかReactかアンソニー・フー氏との対話/企業がオープンソースに取り組むメリット
image by: Shutterstock.com









