どこをどう捉えても一国のリーダーとしての資格のない石破氏
本メルマガでは、以前にも、石破氏がリーダーにはふさわしくない理由を列挙しましたが、先週横浜で開催されたTICAD9でも、決定的な場面がありました。
21日に開かれた夕食会の挨拶で、居並ぶアフリカ各国の首脳らを前に、「大統領とか首相とかをやっておりますと、あんまり楽しいことはございませんね」と得意のボヤきを披露してみせたのです。自虐ネタのつもりで内輪ウケを狙ったのかもしれませんが、ちっとも面白くありません。アフリカの首脳たちもさぞや戸惑ったのではないでしょうか。
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中国の古典『大学』には、「修身斉家治国平天下」という言葉があります。「自分自身を修め、家を整え、国を治め、そして天下を平和にする」という意味ですが、「修身」こそがすべての根本という教えです。
また、同じく『大学』に、「自天子以至庶人、壹是皆以修身為本」ともあります。「天子から庶民に至るまで、自分の身を修めることこそが根本である」という意味で、日本陽明学の始祖、中江藤樹が開眼した教えとされています。
「修身」などという言葉は、現代人にとってはすっかり死語のようになってしまいましたが、自分を修めるという根本を疎かにしていては、家庭も国家も治めることなどできない、というこの古くからの教えは、いつの世でも変わらぬ真理でしょう。
「自分を律することができる」、「人のせいにしない」、「与えられた立場や環境に不平不満や愚痴を言わず最善を尽くす」、「人に与えることができる」、「結果に対して潔く責任を取る」等々の行為は、修身の基本です。
そして身を修めた人は、どのような役職にあろうが、自分のいる場の価値を高めることができる人であり、至らない人は、自分のいる場の価値を貶め、下げる人です。
歳を重ねても、自分に甘く、地位に恋々とし、身を修めていない人はたくさんいますが、そのような人のことを「小人」と呼ぶとすれば、小人がリーダーや指導者になった組織や国家はその価値を下げてしまいます。経営破綻する企業、衰退する国家は、例外なくリーダーに問題があります。
国家のリーダーというものは、国民を奮い立たせる力がなければとても務まりません。国会答弁ではダラダラネチネチと言い訳やできない理由を並べ立て、裏では保身のための根回しにコソコソと動き回り、挙句の果てには他国のリーダーたちを前にして仏頂面で「楽しいことはない」などとボヤくような人に務まる職務ではないのです。
ただ、そのような石破首相にわずかばかりの期待を残すとすれば、8月6日の広島でのメッセージ、9日の長崎でのメッセージ、15日の全国戦没者追悼式典でのメッセージで、先の大戦に対する自分自身のこだわりを盛り込んだ点です。歴史修正主義や右傾化への懸念が高まる中、石破氏自身もその懸念を共有していることを明らかにしたといえます。
また、24日には、最側近の赤沢大臣を連れて小泉純一郎氏らと食事を共にしたそうですが、ここでは純一郎氏が郵政解散をした時の手法からアドバイスを求めたとされます。党内で総裁選前倒しの動きが強まる中、場合によっては解散総選挙も辞さず、それをきっかけに本気で自民党を改革するという覚悟を固めつつあるのかもしれません。
「石破氏が辞めたら次は誰がやるんだ」という極めて頭の痛い問題が付いて回るのも事実ですが、石破政権にとっても自民党にとっても、いよいよ正念場を迎えていることだけは間違いありません。
(本記事は『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中 』2025年8月29日号の一部抜粋です。シリーズ最終回となる「戦争を考える」と題した「今週のメインコラム」、「物理学者が書いた世界史の本」を紹介する「今週のオススメ!」、「日本国憲法第2章第9条」等についての考えを綴った「読者の質問に答えます!」、「肉の効用」を取り上げた「スタッフ“イギー”のつぶやき」を含むメルマガ全文をお読みになりたい方は、この機会にぜひご登録ください)
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