「進次郎政権の誕生に力を貸して」と懇願か?石破の退陣表明前日「菅と進次郎の公邸訪問」に隠された“真の目的”

 

石破が恐れた「寄ってたかって引きずり下ろされる」絵柄

小泉氏の頭にあるのは当然、日本維新の会だ。吉村代表と仲が良く、維新の内部から「進次郎総理なら連立できる」という“ラブコール”すら聞こえてきている。後ろ盾の菅氏にしても、維新の創設者である橋下徹氏や松井一郎氏と定期的に会食するなど、親交が続いている。

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二人の首相公邸訪問は、“進次郎政権”の誕生に力を貸してほしいというのが、隠された趣旨といえるかもしれない。

もちろん、小泉氏が総裁選に出馬したいなどと、あからさまに言うわけがない。自分は新総裁の座を狙うが、あなたは退陣してくださいというのではあまりにも厚かましい。一方、石破首相は総裁選に出たいという小泉氏の意欲について、その場であえて触れはしないまでも、痛いほど感じてはいただろう。複雑な心境が推し測られる。

だが、あれほど自信満々に「続投」を宣言したのがアダとなり、引っ込みがつかなくなっていたのが石破首相だ。このまま「続投」にこだわったら、地位に恋々とするのを寄ってたかって引きずり下ろされる絵柄になってしまう恐れがあった。それでは男の意地が廃る。総理の名に傷がつくのを避けるためにも、ここは自ら退陣を表明し菅氏と小泉氏の話に乗るのが、今後の政治活動のうえでも得策と、石破首相は考えたのではないだろうか。

菅氏が言い残して行った「党の分裂危機を回避するために身を引く」という文言は、なるほど“党総裁”を辞める大義名分になりうる。あとは、“総理”辞任の理由を考えるだけだが、これも「米国との関税交渉に一つの区切りがついたから」とすれば、過去の経緯からみて不自然ではない。

小泉氏がどのような話をしたかについて、石破首相は辞任表明会見のなかでこう語っている。

「会話の内容は、ここでお話をすべきことだと私は思っておりません。小泉農林水産大臣は積極的に発言をしたわけではありませんが、いろいろな発言は、示唆もあったということに尽きます」

口数少なく、示唆に富んだ進次郎発言。なかなか意味深な言い回しである。腹の内を探り合う二人の姿が目に浮かぶようだ。

かくして、衆院選、東京都議選、参院選と三連敗しながら政権に執着し続けた石破首相の“闘争”は終結した。党内の反石破勢力がまとまりを欠き、内閣支持率が上昇するなど、一時は「続投」の思惑通りに進んでいるかに見えたが、総裁選前倒しを求める方法が決まった8月27日以降、状況が逆流しはじめた。

「臨時総裁選を要求する者は署名・捺印して9月8日に党本部に持参すること」という取り決めは、党内に激しい動揺と反発をもたらした。要求書に署名し、メディアを通じて世間に名前が公表される。それは「造反」の烙印にもなりかねない。当初は、総裁選前倒しへの動きが鈍るかと思われた。

だが、現実はまったく逆だった。前倒しに賛成の者だけが要求書を出し、反対の場合は何もしなくてよいのである。何もしなければ、運動として盛り上がるわけがない。賛成者だけが旧派閥や当選同期の議員に声をかけて積極的に会合を開き、同調圧力によって“票”を固めていく。前倒しへの機運が高まるのは自然の理だ。

石破首相の思惑は外れ、頼りとする森山裕幹事長ら党4役は辞意を表明した。進退の判断を委ねられた石破首相は完全に行き詰った状況に陥っていた。その意味で、菅氏と小泉氏の進言は“渡りに船”だったといえるかもしれない。

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