ガラパゴスどころかシーラカンスになる日本。EVでもAppleに滅ぼされかねない自動車産業の五里霧中

 

また、EVとAVの二重革命によって変化しつつある自動車産業において、存在感を維持するにもこれは必要です。仮に、軍民を対象にした造船業に進むにしても、素材、設計、電装、エネルギーの各分野を通じて船舶のテクノロジーも進んでいきます。「英語とサイエンス」が使える分厚い人材を用意しなければ、この分野のシェアを取ることも絵に描いた餅にすぎません。

経済安全保障というと、保守イデオロギーであり、守旧派の心情や行動様式と結びついているように見えます。ですが、国の根幹の部分である教育において、とりわけ次世代の教育について、また現役世代のスキルアップにおいて、「英語とサイエンス」の使える人材を分厚く用意するには、社会の明らかな変更が必要です。これをやり遂げなければ、経済的な独立性、安全の保障は実現できないと思います。

日本の複数の大学の先生達から聞いた話では、今でも「英語の点数が悪いので理系を選択した」という若者が一定数いるのだそうです。そういった層を作らないためには、あるいは、その層を「英語とサイエンス」を駆使できる21世紀型の人材に転換するには、何をどうして行ったらいいのか、変革は待ったなしであると考えます。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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