また、EVとAVの二重革命によって変化しつつある自動車産業において、存在感を維持するにもこれは必要です。仮に、軍民を対象にした造船業に進むにしても、素材、設計、電装、エネルギーの各分野を通じて船舶のテクノロジーも進んでいきます。「英語とサイエンス」が使える分厚い人材を用意しなければ、この分野のシェアを取ることも絵に描いた餅にすぎません。
経済安全保障というと、保守イデオロギーであり、守旧派の心情や行動様式と結びついているように見えます。ですが、国の根幹の部分である教育において、とりわけ次世代の教育について、また現役世代のスキルアップにおいて、「英語とサイエンス」の使える人材を分厚く用意するには、社会の明らかな変更が必要です。これをやり遂げなければ、経済的な独立性、安全の保障は実現できないと思います。
日本の複数の大学の先生達から聞いた話では、今でも「英語の点数が悪いので理系を選択した」という若者が一定数いるのだそうです。そういった層を作らないためには、あるいは、その層を「英語とサイエンス」を駆使できる21世紀型の人材に転換するには、何をどうして行ったらいいのか、変革は待ったなしであると考えます。
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