欲しいのは「戦争を終結に導いた大統領」という肩書。トランプが世界中の紛争に“中立的な第三者”ではない立場で首を突っ込む理由

 

めちゃくちゃに見えるトランプ「一連の介入」の共通点

ロシア・ウクライナ戦争の場合、実現可能性はともかく、ウクライナサイドはアメリカからの要求に戸惑い、欧州各国の横やりもあって、“戦後”のお話しについては及び腰に見えますが、ロシアについては、この戦争が簡単には終わらないことと、その終結の時期を自らがコントロールできるという立場をよく理解しており、口先ではトランプ大統領の機嫌を取るために、資源の共同開発やアメリカ系企業への解放といったカードを気前よく切って、停戦合意案でも明らかにロシアに有利な内容を勝ち取っていると言えます。

そしてコンゴ民主共和国とルワンダの国境紛争の仲介においては、明らかにコンゴ民主共和国に埋蔵されているレアアースの採掘権をアメリカが獲得することが話し合われていますし、アルメニアとアゼルバイジャンの間の和解の仲介においては、ロシアに気を遣いつつ、以前から続いているアルメニアへのサポートと引き換えに、アゼルバイジャンに対する抵抗を停止させ、アゼルバイジャンの背後にいるトルコとも話し合って、ロシア・ウクライナエリアを迂回する通商のための回廊の整備に関与しつつ、ナゴルノカラバフ経由で欧州に流れる原油・天然ガスのパイプラインの“安全”管理に絡むことで、しっかりと中央アジア地域におけるプレゼンスと資源による権益の拡大を確保する動きに出ています。

こうして見てみると、実は「どうしてこんなことをしているのか?するのか?」が分からないのではなく、一見、めちゃくちゃに見える一連の介入に共通するのは、【エネルギーおよび鉱物資源の獲得】と、【放置していると、力の空白地帯になりかねない中央アジア地区におけるプレゼンスの拡大による中ロに対する影響力の行使】だと理解することができます(もちろん、別の見方もあるかと思いますので、ぜひご意見をお聞かせください)。

ただ、“これまで”は、仲介や調停という体で米軍が直接的に実力行使をし、軍事作戦を実施することはなかったのが、この一か月ほどの間に様相が変わっています。

例えば、昨年のクリスマスに“国内のキリスト教徒を保護するため”に、ナイジェリア国内のISに対する直接的な軍事作戦を、ナイジェリア国軍と共に実行し、IS勢力を駆逐しましたが、この水面下では、アフリカ随一の原油埋蔵量を誇るナイジェリア政府とのディールがあり、ナイジェリア政府が対応に窮しているISの掃討作戦をアメリカ軍が助ける見返りに、ナイジェリアのエネルギー権益拡大への参画が約束されていたと見ています。

IS支配地域のエネルギー権益を“解放”し、その開発とアップグレード、そして精製から輸出まで含めたフルスケールでのアクセスという土産を獲得しています(アメリカにとっては、素晴らしいクリスマスプレゼントだったのではないでしょうか)。

そして今年1月3日に強行されたベネズエラへの攻撃と大統領夫妻の拘束は、先ほども触れたように、軍事的には完璧と言えるオペレーションになりましたが、これによりアメリカが目指したのは、麻薬撲滅のきっかけではなく、ベネズエラ産原油の権益であり、それは中国とロシアに牛耳られていたベネズエラ産原油権益をアメリカが一手に握り、世界最大と言われる埋蔵量(約3,030億バレル)を誇るベネズエラの原油の採掘および供給能力を回復させ(石油部門の再活性化)、一手に握ることで、OPECプラスが握ってきた原油価格に対するコントロールを奪い去る材料を手にすることになります。

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