国民のことを知るために最大限の努力をしておられる天皇陛下
国を治める方法には「シラス」と「ウシハク」がある。これは『古事記』『日本書紀』にも登場する古い言葉だ。
「ウシハク」は権力あるいは武力で民を支配していくこと。それに対して「シラス」は民のことを何でも「お知りになる」、そしてそれによって民に寄り添うことで、国を治めることである。日本には古代からその二つがあった。
古代の天皇は権威も権力も握っていた。つまり天皇は「シラス」も「ウシハク」も行使していた。だから神功皇后の頃は、まつろわぬ民に対しては容赦なく武力を行使して「ウシハク」のだった。
しかしその後、権威と権力が分離されて、「ウシハク」は民の権力者が行使するものとなり、天皇は「シラス」ことしかできなくなった。
だがその「シラス」、すなわち国民のことを隅々まで知っておられるということこそが、むしろ力になっているわけだ。
だから、天皇陛下は国民のことを知るために最大限の努力をしておられる。おそらく毎朝、新聞全紙を読んでおられるだろう。
新聞は現在、全国紙からブロック紙から地方紙に至るまで、ほとんど全紙の社説が次から次に、旧宮家養子案はおかしいと、どんどん書くようになった。新聞社はみんな気が付いたのだ。気付かないのは全国でただ一紙、産経新聞だけである。
それを天皇陛下がご覧になっていて、国民の大多数が国会の議論に懸念を持っているということも知っておられるのだ。
もちろん天皇陛下は最初から、「旧宮家養子案」がどれだけ危ないかということなどは知っておられる。
もしこのままいけば、悠仁さまは何が何でも男子をつくらなければいけないという、絶対条件を負わされてしまう。
もちろん、必ず男子を産まねばならないという絶対条件を承知で、悠仁さまと結婚する女性が現れる可能性は限りなく低くなる。そうしてもし悠仁さまがご結婚できなかったり、男子ができなかったら、そこで今の皇族はおしまいになる。そしてその時に養子が入っていたら、旧宮家系から天皇が出てくることになるのだ。
つまり、「旧宮家養子案」とはそもそも、現在の皇族が「不可」だと言っているのだ。「NG」だと言っているのだ。女ばっかりしかいないからもうダメだと、ペケをつけているのだ。
これは当然ながら、皇后陛下に「お前が女しか産めなかったからだ!」と言っているのと同じことになるわけで、皇后陛下の精神の健康をさらに害することになりかねない。
そうして今の皇族に見切りをつけて、代わりに旧宮家系からどんどん男を送り込んで取って代わらせようというのが、国会のとりまとめ案なのである。
旧宮家系の男子は一般国民であり、生まれてから1分1秒も皇族だったこともない。そんな一般国民が養子として皇族になり、そこから天皇が出てくるなんてことはありえない。
ただ正確にいえば、歴史上にごくわずかな例外はある。そして男系派はそれを持ち出して「先例はある!」と言い出すのだ。
だが、それは成り立たないということを「AERA」6月15日号で宮内庁書陵部の元課長・鹿内浩胤氏が論じている。
鹿内氏によれば「我が国において、一度臣籍降下・皇籍離脱した者は皇籍に復帰しないこと、また、臣籍降下・皇籍離脱した者の子孫は皇族にならないことが歴史上の通則である」という。
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