「長期的に円の魅力を回復させる」
日銀による大幅な利上げがあれば一時的にせよ「おまけ」が円買いを誘う可能性があるものの、長期的に円の魅力を回復するうえでは、地道に日本経済、政治力の復活を図る必要があります。その第一歩は円の価値を削ぐインフレを抑制し、かつての「世界一物価が安定している国」の評価を回復することです。
その点、高市総理は財政規模の拡大志向が強く、その財源に苦心しているために、インフレという税収増要因をなかなか手放そうとしません。この政府に任せていては日本のインフレは収まらないので、日銀法を再改正してでも日銀の独立性を高め、ひたする「物価の番人」としての日銀機能を強化し、明確化することです。
それができなければ、政策金利を物価連動型にして、日銀が政府に忖度したり、政府が日銀に深く関与したりできなくする形にします。景気が拡大局面にあるときは政策金利を実質ゼロ以上とし、現在特殊要因を除いたコアインフレ率が2.7%となっているので、政策金利は自動的に2.75%以上となります。景気が後退局面にあれば、実質金利をマイナス1%に、インフレが目標を超える時は実質1%以上とします。
これは円に対する「おまけ」にもなり、インフレ抑制策にもなり、円の評価を押し上げる可能性があります。
次に、日本経済を復活させ、成長力を高める必要がありますが、折しも高市政権が戦略投資プランとして、2040年度までの14年間に、17分野で官民合わせて370兆円の投資を行うプランを立てています。このうち最大のものがAI用半導体の68兆円、フィジカルAIなどを含めたAI関連投資全体で101.6兆円となっています。
この他、サイバー、情報通信、量子、防衛産業、海洋、フードテック、資源エネルギー、創薬・先端医療、航空宇宙、造船、核融合、防災・国土強靭化、コンテンツなど広範囲にわたっています。一見大規模な投資に見えますが、米国のAI企業では1社で年間5000億ドル(約80兆円)の大規模投資を計画、同業の数社では7000億ドル規模の投資になるといいます。日本の14年分を1年で行う計画です。
これでは日本のAIは永久に米国AI産業に追い付けず、隙間の需要をカバーすることになり、投資が報われません。経済安全保障上は必要分野であっても、この戦略投資で日本産業が世界のリーダーになる絵は描けません。
むしろそれ以前に必要なインフラに金をかける必要があります。化学、物理面での基礎教育の拡充と、せっかくの技術を米国に潰されない外交交渉力です。これまでも三菱飛行機は「飛べない飛行機」と言われ、医薬品も米国の壁が厚く、新薬の承認が困難な状況です。370兆円投資を無駄にしないためにも、教育と外交戦略にもっと注力する必要があります。
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