僕たちは普段、目に見えるもの、ニュースになっているもの、教科書に載っているものだけを現実だと思っている。しかし、地球の歴史も、人類の記憶も、神話も、伝承も、掘れば掘るほど「まだ何かある」と感じさせる。
それは日本の都市伝説にも言える。
たとえば、「裏拍手」や「逆拍手」と呼ばれるものがある。
普通の拍手は、手のひらと手のひらを合わせる。喜び、称賛、祝福、賛同。拍手は基本的に明るい動作だ。ところが、手の甲と手の甲を合わせるような逆の拍手になると、急に空気が変わる。
都市伝説では、これは死者の拍手だとか、「こちらへおいで」という合図だとか言われる。陰陽道的に見れば、手のひらは陽、手の甲は陰。そう考えると、たしかに手の甲同士を合わせる動作には、どこか反転した感じがある。
もちろん、ただの動作だ。実際にやったからといって、すぐに何か悪いことが起こるわけではない。そこまで怖がる必要はないと思う。
でも、こういう都市伝説が残ること自体が面白い。人間は、ただの動作にも意味を見出す。手の向き、身体の使い方、しぐさ、間合い。そこに「気配」を感じ取るのだ。
整体師として見ても、これは非常に興味深いところだ。
身体の動きには、言葉になる前の情報が含まれている。
手を差し出すのか、引っ込めるのか。胸を開くのか、閉じるのか。目線を合わせるのか、そらすのか。そこには、その人の警戒心、安心感、記憶、癖、無意識の防御反応がにじみ出ている。
だから僕は、都市伝説を単なる怖い話としてではなく、「人間が身体に意味を読む文化」として見ることがある。
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