■台湾防衛をどこまで優先課題と捉えているのか定かではない米国
日本の安全保障にとって、中国の軍拡は最大の懸念の一つです。日本政府は日中首脳会談の開催を模索していますが、中国側は今のところ反応を見せていません。
日本から見て軍事上最大の火種と言えるのが台湾海峡です。中国の台湾侵攻を抑止するため、トランプ政権が台湾海峡へのコミットメントをより強めることを日本は望んでいますが、トランプ大統領が国益上、どこまで台湾防衛を優先課題と捉えているのかは定かではありません。背景にはレアアース(希少な金属資源)を中国に深く依存している事情もあり、中国側に強硬な姿勢を取りづらい面もあるように見えます。
中国が軍拡を進めるにつれ、米国側の軍事的なジレンマも深まっています。米共和党系の元ペンタゴン高官は、ワシントンの空気感として「中台紛争に介入すれば米海空軍も深刻な打撃を被り、甚大な死傷者が出ると恐れている。中国軍が強大になる中、それでもアメリカは台湾に介入すべきか、政権内外で議論が続いている」と明かしています。
ウクライナ戦争や中東の紛争、AI(人工知能)、サイバー、宇宙と脅威の対象が急速に広がる中、日米が共通の脅威認識を持つこと自体が一層難しくなってきているというのが実感です。
脅威認識のずれというのは、実際に事が起きるまで表面化しにくいという厄介な性質があります。日本にとって台湾海峡は「明日にも起こりうる有事」ですがレアアース依存という経済的な弱みを抱える米国にとっては、数ある優先課題の一つに過ぎないかもしれません。
この温度差を放置したまま有事を迎えれば、いざというときに「思っていたほど動いてもらえない」という最悪の事態にもなりかねません。
日米間で今、最も必要とされているのは新しい兵器体系ではなく、互いの優先順位を率直にすり合わせる対話そのものだと感じています――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年8月21日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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