■イランにとって「自前の出口」になりかねNPTからの脱退
相手に何かを求めるのであれば、相手がそれを受け入れるための通り道も、同時に用意しておかなければなりません。話し合いの場から相手を締め出しておきながら、話し合いに応じないことを責めれば、相手に残るのはテーブルを離れるという選択だけになります。
イランの国会議員の一部は、今年3月の時点で、NPTは核施設を守ってくれなかったとして、条約からの脱退を公然と主張していました。今回の付託が、以前から出ていたこうした脱退論を再び刺激する可能性は否定できません。
私はこれを、出口のない圧力と呼んでいます。
圧力そのものが悪いわけではありません。問題は、圧力をかける側が、相手が圧力に応じたときに通るべき出口を示していないことです。出口の見えない部屋に置かれた者は、やがて自分で出口を作ろうとします。
NPTからの脱退は、イランにとってその自前の出口になりかねず、それが中東全体の核のドミノにつながる危うさは、先週号の「核の傘の議論」でも触れた通りです。
なお、IAEAのグロッシー事務局長は、国連の次期事務総長選挙の候補者の一人です。8月21日に安保理で行われた2回目の非公式投票では、グロッシー氏を支持する票が7、支持しない票が6と、評価が割れました。
今回の付託と事務総長選を結びつけて語る声も一部にありますが、裏付ける材料は見当たらず、観測の域を出ない話としてここでは脇に置きます。
【4.宣言だけが先に歩く-エネルギー攻撃停止をめぐる三者三様の計算】
中東の混乱が米国の燃料価格を押し上げ、その燃料価格がウクライナの戦場に跳ね返る、今週はそういう連鎖も起きました。
先週号でお伝えした通り、トランプ大統領は9月8日のプーチン大統領との電話会談で30日間の停戦を求め、プーチン大統領はエネルギー施設への攻撃を条件付きで制限する程度の譲歩にとどめたと報じられていました。
今週は、そのエネルギーという言葉が、別の形で前面に出てきます
――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年9月18日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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