【東電】未公開データありすぎ。こんなことで原発を再稼働して大丈夫なのか?

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これに対して東電は、データをそのまま出しても意味がない、整理して評価した上で出すことが必要だ、と言い続けている。この考え方は今でも変わらない。しかしこのような理由をつけて情報公開を先延ばしにしたあげく、大きく信頼を失ったのが、2013年に起きた地下水の海洋流出問題だった。会見はもちろん、規制委からもデータの提供を求められたが、参議院選挙の翌日まで発表せず、強い批判を浴びた。

東電が海洋流出に関する重要なデータの公開を拒否していた頃、原子力規制委員会の島崎邦彦委員(当時)は、仮に公表後にデータが間違っていたことが分かっても、「次から次へと出していくことで、本当に何かあったときに、きちんと公表しているということがわかる」と述べ、情報公開の重要性を訴えた。

とにかく生データを公表すべきということだった。東電の評価、分析を加えないことで、あるいは時に間違った数字が出ることもあるだろうが、データ隠しが後から明らかになるよりはダメージは少なく、また信頼関係の構築にもつながるという指摘だ。

しかしこの言葉は、今でもデータを「整理してまとめてから出す」と言い続ける東電には、届いていないようだ。結局、2月にはまたしても未公表データがあることが明らかになり、汚染水の増加抑制に重要な意味をもつ、原子炉建屋周辺の地下水くみ上げ用井戸(サブドレン)のくみ上げと浄化後の海洋放出の計画が、完全に暗礁に乗り上げた。

 

『木野龍逸の「ニッポン・リークス」』第28号より一部抜粋

【第28号の目次】
1.東電福島第一原発事故トピック
東電会見の劣化は、後ろ向きな情報公開姿勢の現れ?
<なんのために情報を公開するのか>
<情報音痴という会見担当者>
<汚染水の状況を把握していない会見担当者>
<膨張する記者の不満>
2.気になる原発事故ニュース
(1)低レベル廃棄物、敷地内に仮置き 浜岡原発廃炉で方針
(2)千葉県立柏の葉公園で放射線基準値超え
(3)本県避難者、再び12万人超 神奈川県の調査拡大で増加
(4)みなし仮設住宅:住み替え対応バラバラ 6~130件
(5)福島県知事 東電の情報公開強化を
3.編集後記

 

『木野龍逸の「ニッポン・リークス」』

著者/木野龍逸(フリージャーナリスト)
自身のブログ「キノリュウが行く」で東電原発事故を中心に情報を発信中。「ハイブリッド」(文春新書)など著書多数。メルマガには福島第一原発事故の現状について、また原発以外の話題についてもブログやツイッターでは読めない話題が。
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