自民「1.5億」再燃の怪。岸田氏が仕掛けた首相の座を狙う大バクチ

arata20210527
 

ポスト安倍の有力候補と目されながらも、総裁選では菅義偉氏に大差をつけられ涙をのんだ岸田文雄氏。押しの弱さや決定力不足を指摘され続けてきた岸田氏ですが、ここに来て大きな勝負に出たようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、このタイミングで岸田氏が、河井夫妻の陣営に1億5,000万円を提供した「首謀者」の追求ではなく「使途」の説明を求めた狙いを考察。その裏には、再再登板を目論むかのような動きを見せる安倍元首相への強烈なメッセージが込められていました。

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1億5,000万円問題で「ポスト菅」の勝負に出た岸田文雄氏

じれったい新型コロナ対策。インド型変異株の水際対策にも失敗した。菅内閣の支持率はガタ落ちし、総選挙は間近に迫る。選挙の“顔”は菅首相でいいのか。安倍前首相の動きもさらに活発化し、自民党内には緊張感が高まってきた。

そんなさなか、自民党前政調会長、岸田文雄氏が気になる行動に出た。2019年の参議院選で党本部から河井案里、克行夫妻の陣営に渡った1億5,000万円の使途を明らかにしてほしい。5月12日、党広島県連会長として、岸田氏は党本部にそう申し入れたのだ。

調べればすぐ分かるだろうに、「検察に提出した書類が戻れば報告書を作成する」と林幹雄幹事長代理は財務省の森友対応ばりに、すげない返事。さすがにこれでは誰も納得できない。で、広島に本社を置く中国新聞の記者が5月17日、二階幹事長の定例記者会見において、こう質問した。

「1億5,000万円について明確に説明するようにという広島県連の申し入れに、どう対応していくのか」

二階幹事長の回答は意外なものだった。

「1億5,000万円が支出されたその当時、私は関係しておりません。ですが、関係してないから関係ないということをいうのではなくて、その事態をはっきりしておくために言っただけのことです。よくご意見を聞いて、今後慎重に対応していきたいと思います」

幹事長が多額の党費支出について、関係してないでは通らない。知ってはいたが、自分の判断で出したカネではない、というのならまだ分かる。まずいと思ったのか、翌日の会見で二階氏は以下のように言い直した。

「党全般の責任は私にあることは当然のことでありますが、収入支出の最終判断をしているわけであって個別の選挙区の選挙戦略や支援方針についてはそれぞれ担当において行っている。それ以上でもそれ以下でもありません」

1億5,000万円を河井陣営に回したことは知っているが、その支出を指示したのは自分ではなく担当者だ、と言うのである。

その担当者について、二階氏に付き従う林幹雄幹事長代理は17日の会見時、「当時の選対委員長がこの広島に関しては担当していた」と口を挟み、甘利明氏の関与を示唆したが、その後、甘利氏が「1ミクロンも関わっていない」と否定したこともあって、翌日の会見では「根掘り葉掘り党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と苛立ちをあらわにした。

当然のことながら、二階氏も林氏も誰が“首謀者”かを知っている。甘利氏もしかり。ただ、その人の名を出すのが憚られるだけだ。

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