スパイ防止法にチラつく“統一協会”の影。高市早苗政権が目指す「疑われないように黙る」監視社会の絶望

ky20251015
 

高市早苗首相が推し進める「国家情報局」創設と「スパイ防止法」制定。外国のスパイ活動やサイバー攻撃への対抗を名目としていますが、その中身を精査すると、「誰と関わったか」だけで処罰される社会、「疑われないように黙る」空気が蔓延する社会への道が見えてきます。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、高市首相の危険な憲法観から統一協会との歴史的つながりまで、その全体像を鋭くえぐっています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:泉美木蘭の「トンデモ見聞録・第391回 国家情報局とスパイ防止法が生む空気
※本稿では著者の意思と歴史的経緯に鑑み、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を「統一協会」と表記しています

高市早苗の危険すぎる憲法観

前回の「ゴーマニズム宣言」を読んで、高市早苗が「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法です」などと発言したことを知り、政治家としての無知に呆れてしまったが、発売中の『女性自身』には、さらに斜め上を行く話が紹介されており、驚愕してしまった。 憲法学者の小林節が、10年ほど前に衆議院の委員会に呼ばれた時の出来事だ。 小林が「憲法とは”国の理想”を書くものではなく、国家権力を制限するためのものだ」という説明をしたところ、高市がこう反論したらしい。

私は、そういう考えはとりません。 憲法は、国家に権力を与えるものです

……言葉を失ってしまう。 高市は、民主主義国家における基本中の基本とされてきた常識をあっさり否定し、完全に間違った憲法観を、意味不明な自信とともに独自展開しているのだ。 この時すでに憲法学者から「憲法は国の理想を書くものではない」と言われているのに、一切修正していないのだから、頭の中は、「憲法を、権力が国民を縛るためのものに変えたい」という思いでいっぱいなのではないか? 高市は自身のYouTubeチャンネルで、「もう黄ばんでおりますが、大事に大事に持っているのが…」と言いながら、自民党が下野していた時代に作成した改憲草案を取り出し、「実は私、これが一番好きなんですね」「何度も何度も読み直して、最も好きなものなんです」と言って、愛着たっぷりに紹介している。

国民に命令しまくる自民党改憲草案

この改憲草案には、教育・勤労・納税の三大義務以外に、国民への命令がいくつも書き込まれている。

第3条(国旗・国歌) 国民は国旗及び国歌を尊重しなければならない。 第12条(国民の責務) この憲法が国民に保障する自由及び権利…国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。 第24条(家族) 家族は互いに助け合わなければならない。 第99条(緊急事態の効果) 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も… 国その他公の機関の指示に従わなければならない。 第102条(憲法尊重義務) 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。 自民党改憲草案2012

国民に「自由と権利には、責任と義務が伴うことを自覚しろ」「常に公の秩序に反するな」「この憲法を尊重しろ」と命令しまくるこの尊大さに対して、愛着を隠さない高市は、相当な危険人物と言わねばならない。 国家を縛るはずの憲法を、国民を縛り、秩序を乱させないためのものへと傾けたがっている。 警察的な発想だ。 そしてこの発想が、いま高市政権下で進められている「国家情報局」や「スパイ防止法」の目論見と無関係とは思えない。

国家情報局とはなにか

いま政府が検討している「国家情報局」とは、簡単に言えば、日本版のCIAのような情報機関を創設する構想だ。 外国によるスパイ活動や、先端技術の漏洩、サイバー攻撃などに対抗するため、情報収集と分析能力を強化することが目的らしい。 たしかに国家ぐるみのサイバー攻撃や、首都インフラ攻撃、通信傍受などの話を聞くと不安になるし、必要なものだろうと想像はするが、問題は、その中身である。 「情報を集めて分析する能力」と言っても、それを誰がどう使うのか、どこまで権限があるのか、言論・自由・監視とどう関係するのかという点が十分に議論されていないのだ。

高市もネトウヨも「外国勢力の影響/情報活動」という言葉を好んでよく使っているが、これも何を示すのかはっきりわからない。 ネット上には、高市の台湾有事発言への批判を「外国勢力による認知戦」と言ったり、皇位継承は双系こそ伝統に適っているという意見を「外国勢力による国体破壊工作」と言ったりするバカが溢れかえっている。 まさかそこまでのネトウヨ脳で運用することはない……と思いたいが、定義がはっきりしない限りは、権力がその気になれば、些細なことでも恣意的に「外国勢力の影響」と見なすことができてしまう。 そのような状態自体が問題なのだ。 海外の団体と連携する市民活動は大丈夫なのか、研究活動に支障はないかなど、一般的な活動にも影響が及ぶだろう。

この記事の著者・小林よしのりさんのメルマガ

購読はこちら

print
いま読まれてます

  • スパイ防止法にチラつく“統一協会”の影。高市早苗政権が目指す「疑われないように黙る」監視社会の絶望
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け