トランプでも習近平でもない。戦争のドミノを食い止め第3次世界大戦を防ぐ国と指導者の名

Beirut,,Lebanon,-,March,06,,2026,-,Dahyeh,Suburb,Destruction
 

中東やウクライナをはじめ、世界各地で頻発する軍事衝突。その背景には、単なる安全保障や資源争奪にとどまらない「回避しがたい衝動」が存在しているという見方もあるようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の「無敵の交渉・コミュニケーション術」』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、「レコンギスタ」という概念を軸に3大国をはじめとする主要国家の行動原理を分析。その上で中東情勢の混迷や各国の思惑、さらに今後の国際秩序の行方について考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:失地回復を目指すそれぞれの思惑がぶつかり合う国際情勢

なぜ大国は戦争を引き起こすのか。失地回復を目指すそれぞれの思惑がぶつかり合う国際情勢

【レコンギスタ】

訳すると「失地回復」となりますが、これは元々、中世のヨーロッパで、イスラム教徒に占領された南欧イベリア半島の奪還を目指すキリスト教徒の失地回復運動を指し、政治学などでは「既存の態勢や秩序を打破し、過去の栄光を取り戻そうとする場合」にも用いられます。

今週、Multilateral Mediation Initiativeの仲間と現在の国際情勢について話した際、メンバーの一人が「今、世界で起きている様々な戦争や紛争は、レコンギスタを目的に行われているのではないか」という大きな問いを発したことと、たまたま手に取った本(川北省吾 著『新書 世界現代史-なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』)においてもレコンギスタ(本の中ではレコンキスタと表記)を軸に現在の大国の行動を読み解く試みがなされていたことから、今週号の一つの軸としてレコンギスタというコンセプトを据えて、私なりの見解をお話ししてみたいと思います。

このメルマガではアメリカ・ロシア・中国を3大国として扱ってきましたが、まずはレコンギスタとこの3大国の行動について見てみます。

ロシアについては、プーチン大統領が掲げる“大ロシア帝国の再興”に基づく一連の動きがこのレコンギスタに当たります。

2000年から25年以上にわたり大統領・首相の座にあり、ロシアの実質的な“独裁者”となったプーチン大統領は、就任当初は欧米諸国と友好的な姿勢を取ることで、NATOの東進を食い止め、新しい時代を作っていくことを目指していたようですが、ロシアがソビエト連邦崩壊のショックから立ち直ろうと苦慮している間に、欧米諸国は“ロシアとの約束”を違えて、東欧諸国およびバルト三国をNATOに吸収し、実質的に東進を図ってロシアにプレッシャーをかける行動に出ました。

それを受けて“欧米諸国はあてにならない”と確信したプーチン大統領は、欧米諸国に奪われた旧ソ連領を取り戻すべく、まさに失地回復のための戦いに挑むようになります。それが2014年のクリミア半島の併合から、現在のロシア・ウクライナ戦争に繋がる系譜であり、また南オセチアやチェチェン共和国への侵攻、バルト三国を裏切り者と定義してプレッシャーをかけ続ける方針に繋がっていると考えられます。

そこにコロナ禍のロックダウン時に誰にも会わない孤独な時間が重なり、その間にロシア帝国時代の統治や思想にどっぷりと浸かったことが、今、堅持する大ロシア帝国の復興・再興という認識に繋がったと言われています。

今、大ロシア帝国に足りない部分こそが、プーチン大統領にとっての失地であり、それを取り戻すための一連の戦いで現在進行形なのが、ロシア・ウクライナ戦争といえます。

またそれは旧ソ連が誇示し、その崩壊によって失われた(奪われた)世界的な覇権という“失地”も回復しようとしています。中東地域、アフリカ、中南米地域へ影響力を拡げようとしているのも、その一環と考えることができます。

ロシア版レコンギスタが成功するかどうかは分かりませんが、混乱する国際情勢の中で着々と進められ、周辺国と欧州各国の安全を脅かしていることは確かです。

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