エリート自衛官が国会議員を罵倒、文民統制を揺るがす事態

arata20180426
 

自衛官による民進党議員に対する「暴言事件」が波紋を呼んでいます。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、この事件を詳細に振り返るとともに、このような事態が発生した原因のひとつには、安部官邸が着々と進めてきた「防衛省内の文官統制を破壊するかのような改変」があるのではとした上で、自衛隊トップである河野統幕長の責任を問うています。

自衛隊中枢にいったい何が起きているのか

周知の通り、安倍政権は自衛隊を戦争のできる組織にしようとしている。どこの国でも権力者が掌中にしっかりおさめておきたいのが軍事組織だ。寝首をかかれたら大変なことになる。

戦前、青年将校が政治に不満を持ち、5.15事件2.26事件などで政治家を殺害した。暗殺の恐怖で政党は活力を失い、軍部独裁国家となって、日本は無謀な戦争に突入した。

この痛切な教訓が、自衛隊という武装組織を、文民たる政治家や官僚が統制するシビリアンコントロールのバックボーンといえる。

しかし、安部政権になってからは、文民のトップである総理大臣自身が、武力行使の抑制というタガを取り外したがっているように見える。

戦後の平和憲法を否定するこの政権のもとで、自衛隊が大きく変質を迫られているのではないかと、多くの国民が危惧しているのは確かであろう。

そういう意味で、小西洋之議員民進党)が遭遇したエリート自衛官による“暴言事件”には、ギョッとさせられた。

インターネットメディア「IWJ」の取材に対し、小西議員が“事件”の一部始終を細部にわたって再現している。

4月16日の午後8時40分ごろ、仕事を終えた小西議員が参院議員会館を出てきたとき、ジョギング中の大柄の男性が前を通り過ぎた。すれ違いざま、男性が小西議員を見たため、小西議員は目礼をした。

交差点に向かってそのまま小西議員は歩いていたが、前を走っていたその男性は小西議員の方を何度も振り返った。そのたびに小西議員は目礼を重ねた。

男性は横断歩道の前で立ち止まり、5メートル後ろでタクシーを拾おうとしていた小西議員に大声で言った。「小西だな」。

「小西です」と返事をすると、男性との間で以下のような激しいやりとりになった。

男性 「お前ちゃんと仕事しろ」

小西議員 「集団的自衛権の解釈変更の憲法違反を証明した国会議員です。中身は私のホームページをぜひご覧ください」

男性 「お前は気持ち悪いんだよ」「お前は国民の敵なんだよ」

小西議員 「国民の皆さんが戦争で殺されることがないよう頑張っているんです」

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