入園してわかった!トリリンガルも当たり前 、シンガポール式幼児教育の実態

Creativa Images/Shutterstock.com
 

こういう学校が人口500万人のシンガポールの中に何十校もあり、それがまたどんどん増えている。マレーシアでもインドネシアでもフィリピンでもどんどん増え、中国政府は私の娘が通う学校の中国展開を財政支援し、ものすごい勢いで中国全土に展開させている。

アジアの子供たちはこういう教育を最も脳が柔軟で学ぶ能力が高い時に受け始めている。一方日本では英語の早期教育は国語の邪魔になるとの非科学的な論理がまだ幅を利かせている。私も議員時代にこういう議論に参画して本当に驚き嘆いた。

娘はまだこの学校に通い始めて1年経たないが、英語と日本語と中国語を見事に使い分けている。中国語がぐんぐんうまくなり、私もバカにされないよう勉強しているが、娘が言っていることに答えるのに詰まると3歳になったばかりだのにくすくすと笑いだし、やさしく英語か日本語にスイッチしてくれる。ただ、その様子が「これちょっとイエローじゃないね」とかルー大柴的で心配にもなるが(笑)。

ただ、うちの娘はまだすごい方ではなく、近所の同じクラスの子供は、お母さんがインドネシア人でお父さんがデンマーク人で、家で英語、インドネシア語、デンマーク語、中国語を使いこないしている。脳言語学の権威がいうように、幼児期なら5~8の異なる言語の習得が可能なのだ。問題は吸収も早いが忘れるのも早いので継続して学ぶことだという。

こういう子供がどんどんアジアや欧米で生まれている。一方で日本はどうか? 幼児は教育どころか保育さえ受けられない環境にある。何事も遅すぎることはない。私の知人で還暦から一念発起して中国語をマスターされた経営者もいらっしゃる。ただ、幼児期が色んな意味で最も投資が少なくてすむのだ。

日本では30年~40年前にハーバードに学部留学した方が「私も高校まで日本だったけどハーバードに行けたから高校まで日本で大丈夫」とか言っているが、世界中からアプリケーションが集まるハーバードの競争率は当時から10倍以上の難関になっている。アイビーリーグのアドミッションオフィスの知人によると「日本人なら幼児期から英語をやっていないと今のアイビーリーグには受かるのは難しい。バイオリン世界一とかでない限り」といっている。

名門大学に行くことが人生の成功につながるかどうか、それはケースバイケースだが、子供が何かをやりたくなった時に、一番選択肢を増やしておいてあげるのに低投資の時期に投資してあげることが最も正しいことではないかと強く思う。

生産性はあくまで他国との比較である。このままで日本の生産性と未来はどうなってしまうのか? と思う。根本にはメディアとリーダーシップがもっと科学的思考と世界との相対化を身につけることにあると思う。

他人のことを言っていられない。もっと中国語を勉強しないと娘にそろそろバカにされる。頑張ります。

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』 Vol.160より一部抜粋

【Vol.160の目次】
1.Q&A
2.天は二物や三物しか造らない
3.日本の子供にゲームばかりさせちゃいけない理由!
4.2025年のシンガポール
5.多くの面会申込み
6.日本のベンチャーはアジアで全然勝てない
7.アジアの起業家に投資せよ!
8.消える銀行
9.どんだけガラパゴスだよ!
10.英国は日本よりずっと豊か

など注目記事が全20項目!

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
≪無料サンプルはこちら≫

print

  • 入園してわかった!トリリンガルも当たり前 、シンガポール式幼児教育の実態
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け