海外の事例をもとに日本の広告について考察してみる
さて、シンガポールとニューヨークの事例をもとに日本の広告について考察してみようと思います。まずは、広告の目的を定義する。広告主にはそれぞれ「プロダクト」があります。製品だったり、サービスだったり、私の場合は情報だったり。
これを市場にいる方々に伝えること、買ってもらうことが広告の目的と言えます。
「伝えること」が重要だとわかったところで、総務省のデータに平成13年と平成21年の、情報流通量と情報消費量という統計があります。
世の中にどれだけの情報が流通していて、私たちはどれだけの情報を消費できたかという統計です。
この8年間で、情報量は2倍になっていることがわかります。
一方で、情報の消費量はほぼ横ばいで9%しか増えていない。
情報がいくら増えて便利になっても、消費する私たちの能力がコンピュータのように進化するわけでないので、全ての情報を消費するのは不可能ということがわかります。
つまり、発信する内容が「生活者に選ばれる情報」かどうかが、重要になってきたということです。
ここで重要なのが「表現」です。
私がシンガポールを視察したとき、シンガポールの広告は、表現でいうとシンプルで、凝ったことはしていませんでしたが、自由な発想をしていて、日本の広告も見習うべきだと感じました。
しかし「表現」を考える前に、然るべきステップを踏まないと、全く生活者に届かない広告になってしまいます。まず「何を」「だれに」を明確に定義すべきなのです。「何を」は自社の強みのことです。
それが分かったら、次は「だれに」です。お客様となるターゲットの決め、「どうやって」伝えるか媒体や表現を考えるのです。今回は「だれに」に重点を置いて話を進めましょう。