金正恩氏も視察。「北朝鮮アニメ」制作現場の裏側

 

第1創作団で

オ・シンヒョク課長は、沿革資料室に継いで元帥が足を運んだ、第1創作団の原画作画室に私たちを案内した。ちょうど新しく製作されるアニメについてクリエーターたちと打合せをしていた第1創作団のチョ・ミョンドク(56歳)団長が穏やかに迎えてくれ、原画作画室について話してくれた。

「原画作画室のアーチストは、芸術映画での役者に譬えることが出来ます。芸術映画では、役者が直に出演して演技を展開してみせるとしたら、アニメーション映画では原画アーチストが台本に基づいて作画により各場面をスクリーンに展開します。原画アーチストによって登場する人物の造形とシルエット、キャラクターの特徴、色彩プランが決定されます。ですから原画作画室のアーチストは、絵を描く能力ばかりでなく豊かな創作的想像力を持ってこそ、自らの責任を全うすることが出来ます。」

チョ・ミョンドク団長の話を聞き、私たちは原画作画室のアーチストの創作中の姿に関心を向けた。

20代、30代の若いアーチストたちは、コンピューターで、新しく製作中のアニメーション制作に余念がなかった。

特にパク・ヨングム(35歳)さんの製作に興味を引かれ、その場を離れることができなかった。家庭の主婦である彼女が、コンピューターでアニメの登場人物の創作に情熱を傾ける姿から、目が離せなかった。

自分が創作したアニメの主人公のある少年の姿が、気に入らないのか、画面から消したかと思ったらまた描き、線と色で良い感じに完成させる様子は、彼女が自分の仕事に非常に心血を傾けていることが判った。

作業をじっと見守る私たちにパク・ヨングムさんは、アニメを制作する感想について、「私はこどもを育てる母としてアニメの一場面、一場面にこどもたちの明るい未来が込められていると思いながら、すべての意気込みを注いでいます。私のつくるアニメが、こどもたちに広い知識と科学的な思考、美しく気高い精神道徳的品性を育てるうえで助けとなるよう願うからです。」

彼女の話に、彼らのつくるアニメを見てよろこぶ人民とこどもたちを想像しているそのとき、原画作画室のキム・ジョンフン(46歳)室長は「コンピューターでの美術製作は線と色、コマンド、コンピューター技術に対する高い知識と高度の集中力を要する精神労働です。私たち原画作画室のアーチストは、高い実力を持って、自分の引受けた課題を立派に遂行しています。」と言うのだった。

キム・ジョンフン室長の話を聞いていたオ・シンヒョク課長は「まぁお聞きになれば解りますが、原画作画室だけでなく、撮影所のすべてのクリエーターとアーチストは、元帥が与えられた綱領的課題を心底受け止め、その達成に一丸となって取り組んでいます。特に若いアーチストたちの熱意は凄いですよ。」と誇らしげに言った。

>>次ページ 具体的な指示もする将軍様

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