まず、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月(平成30年8月)までの直近1年間に未納が無いかどうかを見ますが、未納だからダメ。
じゃあ原則の、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに年金保険料を納めなければならない月がある場合は、その3分の2以上(66.66%以上)が年金保険料納付済みか免除期間じゃないといけない。それを見てみると、20歳到達月の平成17年3月から平成30年8月までの162ヶ月の間に、学生免除期間25ヶ月+厚生年金期間51ヶ月+国民年金保険料納付済み期間36ヶ月=112ヶ月ある。
112ヶ月÷162ヶ月=69.13%≧66.66%だから保険料納付要件を満たす。
次に遺族基礎年金は、死亡時に生計維持していた「18歳年度末未満の子が居る配偶者」、または「18歳年度末未満の子」にしか支給されない。だから、まず夫の母は支給対象から外れる。
生計維持というのは簡単に言うと、死亡当時にその死亡者と同居していた時に、配偶者(この記事なら妻)の前年の年収が850万円未満または前年所得(前年分が確定してないなら前々年分)が655.5万円の両方を満たす場合をいう(一時所得みたいな一時的にドカンと入ってきた収入は除く)。
じゃあ、遺族基礎年金は妻と子に支給されるのかというと、この場合は優先的に妻に支給される。子も受給する権利はあるけれども、配偶者である妻が遺族基礎年金を受給する間は子への遺族基礎年金の支給は停止となる。
さて、遺族年金を平成31年1月に請求した。遺族年金は遅れて請求しても、死亡日の翌月分からの支給。だから、平成30年11月分から遡って支給される(年金の時効の都合上どんなに遅れても最大過去5年分まで)。いくら支給されるのか。
遺族基礎年金は定額です。配偶者と子1人分なので、遺族基礎年金779,300円+子の加算金224,300円=1,003,600円(月額83,633円)。これが、子が18歳年度末を迎える平成41(2029)年3月分まで支給される。2029年4月分からの年金は0円となり遺族基礎年金は消滅する。
ちなみにこの妻がそれまでに再婚等した場合はどうなるのか。例えば、平成35(2023)年7月に再婚するとする(事実婚も含む)。となるとここで妻の遺族基礎年金の権利は消滅し、2023年8月分の遺族基礎年金から消滅する(失権という)。
● 遺族年金の主な失権事由(日本年金機構)
しかし子の遺族基礎年金を貰う権利は無くならない(年金額779,300円のみ)。
母である妻が再婚し、子はその父と養子縁組をした。