この事例では、この男性は65歳で退職しますが、仮に退職しなかったとしても年金受給から働いた期間分の老齢厚生年金が増える(65歳到達時改定という)。この男性の場合は、年金支給が始まった63歳以降も給与30万円で働いてきたから増額する年金はザックリですが下記くらい。
・老齢厚生年金(報酬比例部分)→30万円×再評価率0.945(便宜上平成30年度再評価率を用いてます)÷1,000×5.481×24ヶ月=37,293円
だから、老齢厚生年金(報酬比例部分)は120万円から1,237,293円に増額という事です。
なお、再評価率というのは昔の貨幣価値を現在の貨幣価値に直すもの。過去の毎年度の再評価率に、今年度に使う物価や賃金の変動率を掛けて新しい再評価率を算出する。平成以降は経済成長が停滞して物価や賃金がなかなか伸びなかったから値が「1.000」を下回ってますね。平成5年度あたりからずっと1.000を下回る。
● 再評価率表(日本年金機構)
あと、60歳以降も働いてるので、「差額加算」という老齢厚生年金の部類の年金も65歳から発生する(こちらの金額もザックリですが…)。
・老齢厚生年金(差額加算)→1,625円(平成30年度単価)×60ヶ月=97,500円
よって、65歳以降の年金額は、老齢厚生年金(報酬比例部分1,237,293円+差額加算97,500円)+老齢基礎年金68万円=2,014,793円(月額167,899円)
あと、65歳到達時時点で65歳未満の生計維持してる配偶者が居れば配偶者加給年金389,800円も加算される場合がある。
※ 追記
65歳以降も在職する場合に停止される年金は、老齢厚生年金の報酬比例部分のみ(厚生年金基金の代行部分も含む)。差額加算や配偶者加給年金、老齢基礎年金、遺族年金や障害年金は年金停止対象外。なお、老齢厚生年金の報酬比例部分が全額停止(厚生年金基金の代行部分含めて)すると配偶者加給年金は全額停止してしまう。
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